研究課題/領域番号 |
24710102
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
阿部 仁 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (00509937)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 量子ビーム / 放射光 / 表面化学 |
研究概要 |
初年度の平成24年度は、全反射型DXAFS法の測定手法の確立を目指して研究開発を行った。開発する手法は、表面反応における触媒金属の表面原子の反応中の電子状態、局所構造を高速リアルタイム追跡可能とするKramers-Kronigの関係式を用いた全反射型DXAFS測定法である。開発要素は、大きく分けて次の3つからなった。1. 全反射型DXAFS測定装置の設計・製作、2. 全反射型DXAFS測定・解析プログラムの開発、3. DXAFS測定ビームラインでの全反射型DXAFS法の開発と確立、であった。 DXAFS測定は、所属機関にある放射光科学研究施設PF-AR BL-NW2Aで行った。エネルギー分散X線を試料に照射し、全反射光を1次元検出器で一度に検出するため、精密なセットアップが要求された。ポリクロメータ結晶、入射角、試料と検出器の位置等の微調整を行いながら全反射型DXAFS測定手法の開発と確立を行った。Kramers-Kronigの関係式を用いて、反射スペクトルから吸収スペクトルを得た。通常のXAFS測定ビームラインを用いた全反射スペクトル測定も行い、これによる吸収スペクトルも得た。これらの相互比較、また、通常の透過XAFS測定、透過DXAFS測定と比較した。その結果、開発した本手法で正しい吸収スペクトルが得られていることが確認できた。これにより、全反射型DXAFS法の基本的な測定手法の開発は成功したと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、全反射型DXAFS法の基本的な測定手法の開発が行えたため。
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今後の研究の推進方策 |
全反射型DXAFS測定法で表面反応を追跡するため、ガス導入反応セルを製作する。これを用いて、表面化学反応中の触媒金属の表面原子の挙動の高速リアルタイム追跡を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
値引き等により、物品費による研究に必要な物品の購入を若干抑えることが出来た。このような事情により「収支状況報告書」の「次年度使用額」にあるような研究費が生じることとなったが、これは研究費をより有効に活用しようとした結果と考えており、引き続き平成25年度の本研究に有効に活用して行く予定である。
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