研究課題/領域番号 |
24710106
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
A.A Zinchenko 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (00432352)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | DNA / ナノシェル / ナノシート / ヒドロゲル / 高分子金属化 |
研究概要 |
① DNAテンプレートに基づいて3次元の無機ナノ構造体を製造するために、二重テンプレート法(カチオン性一次テンプレートの表面に吸着したDNA(二次テンプレート)を無機化する方法)を開発した。例えば、シリカ粒子に吸着したDNAを鋳型にして用いることで、半導体(CdS)や貴金属(Au,Ag,Pd,Pt)で金属化を行った。その結果は、一次テンプレートの上に無機メッシュネットワークが形成されることにより、コア・シェル構造体が形成する。コアを溶解させることで、CdSやPtナノワイヤーから成る糸毬状シェル構造体が得られた。その他の貴金属の場合、糸毬状のシェルが大きい金属粒子に凝集すくことやコアが溶解した後崩壊することを明らかにした。表面に吸着したDNAの量を変化させることができ、DNA上に成長したCdSシェルの密度を調節することで、無機ナノシェルのサイズコントロールへ成功した。 ② 同上に、2次元の無機薄膜を製造する方法として、平面状ガラス基板をカチオン性修飾して、DNAを吸着させた後、ガラス基板上のDNAを鋳型にして金属化を行ったな。ガラス基板上に無機材料のナノシートが形成したことを蛍光顕微鏡で確認して、この課題の発展を25年度にも続ける。 ③ 更に、25年度に実施を予定していたDNAヒドロゲル金属化について研究を50%程度まで実行した。バルク状およびフィルム状のハイドロゲルを調製して、ゲル中の1 mM DNA濃度、95%以上の一本鎖状態を測定した。次に、DNA ハイドロゲルの膨潤比および温度,pH,イオン強度の変化に伴うるDNAハイドロゲルの膨潤・凝縮変化とハイドロゲルの熱安定性等を徹底的に調べた。DNA ゲルを用いて、DNAリン酸基に対して70%の効率で水溶液から金イオン(HAuCl4)吸収ができることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
交付付申請書に記載した24年度の課題の大部分を解決したが、DNAをテンプレートにして2次元ナノシートのキャラクタリゼーションが充分に行われていなかったため、この課題の発展を25年度にも続ける。一方、25年度の課題として予定していた「DNAヒドロゲルによってDNAハイドロゲルの3次元マトリックスの無機化により、ナノポラスのバルク状無機材料の構築」の研究計画を約50%の実行できた(具体的な研究内容は【研究実績の概要】において記載した)。従って、全体的に評価した結果、本研究は当初の計画以上に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の計画通り研究を実行する。④ DNA鋳型ハイドロゲル無機化③で作製されたバルク状およびフィルム状のハイドロゲルを用いて、ハイドロゲル中の DNA を無機化を行う。そのため、①で上述した貴金属還元反応およびイオン交換反応を利用する。例えば、貴金属で金属化を行う場合、DNA ハイドロゲルを貴金属イオンの溶液に浸し、金属イオンのゲル内部へ拡散が平衡成立するまで静置する。次に、金属イオン含有ハイドロゲルを軽く清浄してから、還元剤溶液にハイドロゲルを浸して、DNA 金属化を完成させる。還元速度を分光法でモニタリングする。バルク状ハイドロゲルの場合、無機化がゲルの内部まで進む可能性を検討する。貴金属イオンと還元剤の濃度を変化させ、金属化の速度および金属化されたゲルの性質を比較する。金属化された無機ゲルにおける、(a)熱的および力学的安定性,(b)膨潤・収縮の可能性,(c)無機ゲルの光学的性質,(d)無機ゲルの内部ナノ構造,(e)表面面積等を①で上述した方法により調べる。また、金属化されたバルク状およびフィルム状ゲルを乾燥させ、同上の方法でキャラクタライゼイションを行う。 平成24年度から残ったつぎの課題を解決する。具体的に、①では、プライマリナノテンプレートの大きさ(約 50nm から 1000nm まで)および形状(球状テンプレート,チューブ状テンプレート等)の影響も調べる。それぞれの無機材料から作製したナノシェルの性質を徹底的に比較する。②では、DNAが金属化された基盤の表面状態をキャラクタライゼイションする。DNA 吸着密度を変化させ、無機ナノシートの網目サイズを制御の可能性を調べる。基盤から DNA 鋳型無機シートの剥離へのアプローチを検討する。基盤から剥離されたナノシートを水溶液に分散させ、液体中のナノシートの安定性や挙動等を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度から残った未使用な7万円程度の金額は、24年度に注文した試薬の納品は年度末まで間に合わなかったことで生じたので、その金額で25年度に試薬購入する計画をしている。
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