研究概要 |
25年度に実施した研究においては、DNAの3次元鋳型としてDNAヒドロゲルを作成して、貴金属イオンの濃縮およびゲル中の金属イオンの還元することにより金属ナノ粒子含有のハイブリッドゲルを作成して、ゲル性質および触媒活性を検討していた。主な結果は下記の通りでる。 1. DNA高分子が遷移金属に高親和を利用して、DNAハイドロゲルを用いて水溶液から遷移金属イオンをゲルの中で濃縮する方法を開発した。本研究では、Au, Ag, Ni, Pd, Pt, Ybを高効率(DNA単量対の物質量に対して50%以上)でゲル中の遷移金属イオンの濃縮が可能であることを明らかにした。 2. Auイオンを吸収したDNAゲルの金属化を行って、Au3+を還元することでゲル中のAuナノ粒子を合成した。DNAゲルで成長した1-2 nm ナノ粒子は極めて微小であり、これまでの報告よりゲル中で合成したナノ粒子と比べて、最も小さなサイズのAuナノ粒子である。このサイズコントロールにおいては、DNAが小さなAuナノ粒子の成長を強く抑制すると思われる。 Auナノ粒子含有のDNAゲルは元のDNAゲルと同様に膨潤・収縮変化を可逆にできることも示した。Au3+を還元するときに溶液のpHを調整して、DNAゲルの中で成長するナノ粒子のサイズを 1 nm と 5 nmと間の範囲でコントロールできた。同じように Au, Ag, Ni, Pd, Pt のDNAによる吸収とゲルの金属化も調べて、それぞれの金属の特徴を解説した。 3. Auナノ粒子含有のDNAゲルを用いて、p-ニトロフェノール還元反応でDNAゲルが高触媒活性をもつことを明らかにした。
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