研究課題/領域番号 |
24710110
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉田 健太 名古屋大学, 高等研究院(エコ), 特任助教 (10581118)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | トモグラフィー / 光触媒 / 電子顕微鏡 / 3次元 |
研究概要 |
アナターゼ型二酸化チタン(石原産業;anatase TiO2, 150nmφ)粒子上に鉛、銀、金ナノ粒子を光電析した。反応溶液には、1wt%に調製したPb[NO3]2水溶液、Ag[NO3]水溶液およびH[AuCl4]水溶液を用いた。これにイオン液体およびCH3COOHなどの有機溶媒を加え、固体-液体界面近傍での金属イオンの拡散速度と濃度を制御した。 H24度は、逐時的電析プロセスについて、(i)紫外光を照射する前の試料、(ii)Pb粒子の析出後の試料、(iii)Ag粒子の析出後の試料、(iv)Au粒子の析出後の試料中のある単一の二酸化チタン粒子を顕微鏡観察した。これにより、これまでに報告されている{101}面上のAu析出や{001}面上のPb析出など、析出金属種のTiO2結晶面依存性を視覚化することに成功した。また、既に析出した金属ナノ粒子が、その後の電析過程にどのように影響するかを定量し、電子・正孔の電荷分離に寄与する助触媒の効果解明に一歩近づいた。 本成果は、生理研研究会「電子顕微鏡機能イメージングの医学・生物学への応用」(平成24年10月24日, 岡崎)などにおいて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試料合成と逐次的な観察を主軸としたH24年度においては、予定通りの種類・分量の触媒試料を合成できた。 光電析の反応溶媒も、蒸留水の段階を終了し、H25年度予定であった疎水性イオン液体N,N,N-trimetyl-N-propylammonium-bis(trifluoromethanesulfonyl)imide (TMPA TFSI)と蒸留水の2相系溶媒に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、光電析過程の顕微鏡内その場観察に挑戦する。まずは金および白金の2元素に注目し、逐時・同時光電析した試料の3次元定量解析を行う。 当該試料はヨーク大学(The Green Chemistry Centre of Excellence)の共同研究者と協力して、エタノール酸化反応に対する触媒活性やCV特製などを評価する。 イオン液体中の光電析を電子顕微鏡観察した前例はこれまでに無く、予想外の困難が生じる可能性もある。その場合は、適時、研究方法を修正し、本研究の目的である光誘起されたキャリアの拡散過程についての知見獲得を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
8月にヨーク大学に1ヶ月間滞在し、マクロスコピックな物性評価を行う。本研究費から航空券および宿泊施設利用費を工面したい。 H24年度の研究成果は、学術論文誌への投稿準備中であり、論文掲載費と別刷費を支払う。
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