研究課題
独自に開発した第一原理に基づく電子状態・量子輸送特性計算手法を駆使し、ナノ構造の量子輸送を電子素過程から調べ、高効率量子輸送を可能にするナノデバイスをデザインする。具体的には、フラーレンやカーボンナノチューブ等のカーボン材料を用いたナノ構造の構造安定性や量子輸送特性と、それらが電極に接続された場合の電極表面とナノ材料の接合状態の違いによる量子輸送特性の変化を原子・電子レベルから精緻に調べ、得られた知見をもとに高効率スピンフィルター素子や高移動度チャネル材料をデザインする。さらには、第一原理計算の結果を実験に提供することにより、新たなデバイスの開発への指針を与えることを目指す。今年度は、輸送特性計算の最大のボトルネックとなっているグリーン関数計算部分を従来の共役勾配(CG)法からShifted CG法に置き換えることにより、最大で22倍の高速化を達成した。また、昨年度完成させたスピン軌道相互作用およびノンコリニア磁性計算用のルーチンを利用して、グラフェン上の遷移金属原子の結晶磁気異方性エネルギーやラシュバ効果を調べた。特にコバルト原子の結晶磁気異方性は、他の計算結果や実験結果と良い一致が得られた。一方、鉄原子ついては実験結果と異なったが、その原因について明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件)
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