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2012 年度 実施状況報告書

リポソームを利用した極微量溶液操作系の構築

研究課題

研究課題/領域番号 24710116
研究機関大阪大学

研究代表者

鈴木 宏明  大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (20372427)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードリポソーム / フェムトリットル / 溶液操作
研究概要

フェムトリットルまたはそれ以下の極微量反応溶液操作技術は、ナノスケールの生化学反応容器[Chiu et al., Science, 1999]や新材料合成法[Zheng et al., Adv. Mat., 2004]への応用が期待される。これまでに、EWODやマイクロ流路内での油中水滴生成・操作技術が広く研究されてきたが[Huebner et al., Lab Chip, 2008]、水溶液の界面張力が大きい (1~100 mN/m程度)という制限から、通常は直径で数百~数十um(体積でnL~pL)の液滴が制御可能な範囲であった。一方、脂質二重膜から成るリポソームも液滴と同様に溶液を内封できるカプセルであり、その大きさは10nm~100umまで幅広く調整可能である。脂質膜の曲げ弾性係数は10kBT程度であり、熱揺らぎを少し超える程度の効果で多様な変形を示すことが知られている。
従って、リポソームを反応容器として溶液の添加や分割を行うことができれば、世界最小のフェムトリットル溶液操作系実現への可能性が広がる。これまでに、融合剤や電気刺激を用いてリポソームを融合し、内封液を混合させることで反応をトリガーする試みがなされてきた。しかし、融合後のリポソームを分割することは困難であったため、その応用は一度の試薬混合に限られていた。多種の溶液の逐次的混合や、溶液の分割といった操作は実現されていない。
本研究では、リポソームの融合と分裂が起こる物理条件を詳細に調べ、フェムトリットル体積の溶液添加→混合→分割といった連続操作、およびその繰返しが可能な基盤技術を確立する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

24年度において,概要で提案したフェムトリットル溶液操作技術の基礎的な部分をほぼ完成することに成功した.以下,その内容を述べる.
リポソームの融合方法としては、すでに操作が確立されている電気融合法を用いた。リポソームを分割するには、申請者らが最近発見した、高分子の排除体積効果によるリポソーム分裂を応用した。これは、リポソームがその内部にポリエチレングリコール(PEG)やDextranなどの高分子を内封することで、リポソームが分裂様の変形を示す現象である.
24年度は,内封する分子の種類(具体的にはPEG、デキストラン、Ficolなど)や分子量、濃度の条件をさらに広範にわたって探索し、分裂変形が頻繁に起こる条件を決定した。次に,分裂変形が起こったベシクルを脂質膜の相転移温度付近にまで冷却することで,ネックがちぎれて分裂が完全に完了することを示した.この一連の操作を2~3サイクル繰り返し,酵素による基質分解反応を段階的に行い、本実験系を用いてフェムトリットルの溶液操作が可能であることを示した.

今後の研究の推進方策

上記のように,提案した基本的技術は24年度でほぼ確立することができた.25年度は,各要素技術の効率を上げるための条件検討を詳細に行い,フェムトリットルの溶液操作を自由自在に行うことができるところまで完成度を上げる.具体的には,分裂様変形後の娘ベシクルの大きさが均一になる条件検討,および完全分裂を誘発する冷却温度と脂質膜の相転移温度との関係を詳細に調べる.条件検討により各要素過程の成功率を上げて,10回以上の溶液添加・分割を繰り返す.世界最小容量の溶液操作系として,原著論文を著して世界に報告する.

次年度の研究費の使用計画

25年度より,研究代表者である鈴木が大阪大学から中央大学に異動した.中央大学において研究室を新規で立ち上げる必要性から,遠心機,インキュベータ,デシケータ,真空ポンプ等,研究実施に基本的に必要な物品を計上する.また,当初計画にあったように,消耗品として酵素や蛍光マーカー等の生化学実験に必要な物品をを購入する.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 細胞サイズリポソーム融合分裂操作系の構築2012

    • 著者名/発表者名
      塩見秀明,津田宗一郎,鈴木宏明,四方哲也
    • 学会等名
      細胞を創る研究会5.0
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20121121-20121122
  • [学会発表] 単一リポソーム融合分裂操作系の構築2012

    • 著者名/発表者名
      塩見秀明,津田宗一郎,鈴木宏明,四方哲也
    • 学会等名
      第二回ソフトマター研究会
    • 発表場所
      九州大学 西新プラザ、福岡
    • 年月日
      20120924-20120926

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公開日: 2014-07-24  

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