一昨年までに減額の為作製に至っていなかった粉末専用の作製装置が他の資金の調達により温度可変基板を備えることが出来たため動き出した.しかしながら,アーク銃一式(CAPD 源)は,予算不足のため,まだ借用している.装置稼働により,サンプルの生成量を増やすことに成功している.申請時には, Mn ドープ PDC (粉末ダイヤモンドクラスター)の磁化発現を目指していたが,出発原料の作製が不可能であったため,途中から Cr ドープ PDC での磁化発現を行ってきている.新規粉末専用チャンバーでCr ドープ PDC の作製に成功した.新規粉末作製装置での,Cr ドープ PDC の回収量は,借用していたそれの3倍以上になり,約3時間 で70 mgの回収につながった. 作製したCr ドープ PDC のサンプルをTEMのEDおよびSR-XRDで測定したところ,diamond - 111に起因する回折が認められ,サンプルにはダイヤモンドの存在も確認された.また,暗視野像で10 nm 以下の光る結晶化したダイヤモンドが一面に無数に広がる像をとらえることができているため,サンプルに一様にダイヤモンドが作製できている状況にあることも確認した.また,SR-PESでC1sを測定し,解析したところ,ダイヤモンドであることを示すsp3 成分が観察された.このことからも,ダイヤモンドが作製できている事が証明された. 更に,作製した Cr ドープ PDC のサンプルの Cr-K 端を XAFS 測定して解析したところ,Cr2+ に起因するピークが認められた. 磁化測定は,同方法で作製した薄膜で測定し,10 at.% Cr ドープPDC薄膜でVSMでもSQUIDでも磁化を観測できている.しかしながら,強磁性のCrO2がコンタミしてこれに起因した磁化の発現である可能性もあり,今後,検証していく必要がある.
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