研究課題/領域番号 |
24710124
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
柳下 崇 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (50392923)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 膜乳化 / ハイドロゲル微粒子 / ポーラスアルミナ |
研究概要 |
高規則性ポーラスアルミナを用いた膜乳化プロセスによる単分散微粒子の作製において,H24年度は,分散相にハイドロゲルの溶液を適用し,単分散なハイドロゲル微粒子の作製を目指し検討を進めた.ハイドロゲルにはアガロースやゼラチンのような,冷却することで高分子鎖が絡み合いゲル化する物理ゲルと,ポリアクリルアミドのような高分子鎖が化学的に架橋することでゲル化する化学ゲルがあるが,H24年度は物理ゲルからなる微粒子の形成を試みた.具体的には,アガロースやゼラチンを溶解した水溶液を,温度制御を行いながら膜乳化を行うことで単分散な液滴形成を行い,冷却することで固化粒子の作製を行った.膜乳化プロセスでは,用いる溶液の粘度や界面張力が液滴形成に大きな影響を与えるため,予備検討として分散相中の溶質濃度と溶液物性について詳細に検討を行い,乳化可能な溶液条件を探索した.これらの溶液は,温度によって物性が大きく変化するため,膜乳化時に温度調節を行うための治具も試作した.その結果,適切な温度条件下で膜乳化を行うことで,サイズ均一性に優れた液滴形成が可能なことを確認した.得られたエマルション溶液は,氷浴中で冷却することにより,液滴が凝固しハイドロゲル微粒子を得ることができた.また,膜乳化に用いる高規則性ポーラスアルミナの細孔径を変化させることにより,得られるハイドロゲル微粒子のサイズ制御も可能であることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H24年度の検討により,ハイドロゲル微粒子の作製が可能であることを確認し,用いるポーラスアルミナの細孔径を変化させることにより,微粒子サイズの制御も可能であることが変わったことから,おおむね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,分散相に添加剤を付与することにより溶液物性を調節し,得られる微粒子の単分散性の向上について検討を進める予定である.さらには,分散相にあらかじめ様々な物質を添加することによる微粒子内への物質の内包についても検討を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
膜乳化時の温度調節を行うため,当初購入設備として恒温槽装置をH24年度に購入する計画でいたが,低予算にて試作した装置により温度調節が可能であったため,購入を取りやめた.そのため,繰越金が生じているがH25年度に高精度な温調装置を試作する予定であるため,その購入予算とする予定である.その他は,計画通り試薬や実験器具などの消耗品の購入を予定している.また,研究成果を国内外での学会で発表するため,旅費の支出も予定している.
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