研究課題
世界的人口増加や新たな基幹産業の創出を見据えた社会的背景から、個人を対象にした携帯型治療デバイスの必要性が高まりつつある。申請者は、安全性や信頼性の観点から、従来型ドライデバイスに代わる革新的なウェットデバイスを創出したいと考えており、その具現化の1つとしてイオントフォレシスを誘導させる酵素反応駆動型薬剤投与デバイスを提案し、そのための各要素技術や統合技術などの新たなウェットプロセス技術を確立したいと考えている。本課題に対し、最終年度の研究成果は、「電気湿布の開発 (薬剤溶液と燃料一体型発電デバイスのパッケージング)」「電気湿布における皮下組織への薬剤投与の評価」を行い、バイオ発電から得たエネルギーを利用することで、水分保湿や試薬投与が促進されることを実証したことである。昨年度に開発した導電性高分子配線および酵素包含カーボンフィルムに加え、撥水性の高分子フレームと医療用メディカルテープなどの構成要素を組み合わせ、シートタイプの電気湿布を開発した。本湿布を1時間貼るだけで、3時間の水分保湿や薬剤の浸透促進を期待できる成果をあげることに成功した。具体的には、ビタミン誘導体をデバイスに含ませ、電気を流すことで市販の皮膚への薬剤浸透が増すことを確認した。自然拡散(電池オフ)とさまざまな電流(数十マイクロアンペアからミリアンペア)を与えた際の試薬の浸透を評価した結果、電流を与えた方がより多くの試薬が浸透することが分かり、さらに、電流値を大きくするほど浸透はより大きくなった。従って、申請者の計画通りに研究を進め、期待した成果を得ることに成功したと言える。
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Advanced Energy Materials
巻: 3 ページ: 60-64
10.1002/aenm.201200422