本研究を通じて明らかになった光導波路構造の問題点について改善を行い、光導波路とナノ流路を集積した単粒子検出デバイスを構築するとともに、ナノ流路内での蛍光粒子の挙動を明らかにすることを目的に研究を行った。 平成24年度では二酸化チタンを光導波路の材料に用いていたが、平成25年度はより光透過率が高いシリコン窒化膜を使用した。平成24年度の成果である導波路作製プロセスをそのまま用いることにより、スムーズに材料の移行は完了した。励起用と蛍光捕集用の光導波路を対向しない位置に配置し、その間をナノ流路が通過する構造を持つデバイスを考案し、実際の作製に成功した。上記構造では励起光が蛍光測定側に混入しないことから、高いS/N比で単粒子からの蛍光を検出できる見通しが立った。 上記のデバイス上のナノ流路に蛍光粒子を流した場合の蛍光強度変化を予測するため、スライドガラス上にモデルとなるナノ流路を作製し、蛍光顕微鏡を用いて電気泳動下での粒子の挙動の追跡を行った。ナノ流路近傍においては、蛍光粒子は電場による力を受ける一方で、電気浸透流によって流路内への進入を阻害されてしまうことが判明した。また、粒子は塩濃度に依存して流路壁面に吸着してしまうことも明らかになった。これらの問題点を解決するために緩衝溶液の濃度最適化を行い、蛍光粒子をナノ流路にスムーズに導くことが可能になった。
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