本研究では時間依存密度汎関数理論に基づく第一原理電子輸送シミュレータを開発し、ナノ物質中を伝播する電子の輸送特性に関する動的挙動を解析することで、次世代電子デバイス材料として有用な材料のデザインに向けた基礎研究を行うことを目的とした。 成果として、分子ワイヤーモデル系を用いたシミュレーションにより、応答速度の遅い輸送チャネルが実験的に観測されにくいことや、分子の幾何構造や電極への吸着状態によって応答速度が大きく変化することなど、新たな知見を得ることができた。今後、本シミュレータを発展させていくことで、ナノ物質の物性研究分野においてさらなる飛躍が期待できると考える。
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