本年度は、昨年度構築した孤立地域対応データベースの拡充と、データベースの組織、時間や空間など様々な視点からの分析を目的とした孤立地域対応ウェブ分析システム構築の第一段階として、ソーシャルメディアの一つであるtwitterから発信された各地域の情報を比較分析して情報発信主体の違いによる内容の変化を評価した。そして孤立した地方自治体での対応マニュアルの作成に必要な項目の一つとして災害発生後における地方自治体をはじめとした災害対応に関連する組織の情報伝達手段としてtwitterの位置づけを既往のものの特性を踏まえて検討した。 具体的には、平成23年台風12号豪雨災害で孤立した地域が発生した和歌山県新宮市、那智勝浦町を対象として自治体の公式twitterアカウントの運用体制と発信した情報の内容を中山間地域の生活の枠組みの視点から時系列分析した。その結果、両市町とも生活の基盤を支えるインフラ、ライフライン、行政に関する情報が発信されていたほか、義援金やボランティア募集など外部からの支援に関する情報発信が多かったことが明らかとなった。昨年度対象とした十津川村出身者によるアカウントから発信された情報と比較すると、上記以外の住民の生活に直接関わる情報の提供が不足していたことが明らかとなった。またアカウントの運用体制は職員1~3人で構成されていた。発災直後は行政の公式窓口が携帯電話によるインターネットしか利用できず、twitterが唯一であった。このことから情報伝達手段の多重化と、情報に係る人員の確保が課題であることが明らかとなった。 以上を踏まえて、災害発生後における地方自治体をはじめとした災害対応に関連する組織と地域住民との情報伝達手段としてのtwitterの位置づけを既往の情報伝達手段の特性を踏まえて、被災地外部に向けた情報の伝達と、公式窓口のバックアップ、情報に係る人員確保の3点から提案した。
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