最終年度にあたる平成27年度には、理論モデルの最終化を行い、これを踏まえて実証データを再検証し、その成果を学術誌及び国際学会において発表した。また、政策担当者へのフィードバックを目的として、科学技術政策に関するワークショップを開催し研究成果の共有を図った。
本研究では、大学を中心とする公共部門における「科学生産」に着目し、研究資金配分および研究者人材の配置が、知識資本および社会関係資本の形成に及ぼす影響を検討することを目的とした。本研究は主に(1)科学生産に関する理論モデルの構築、(2)フィールド調査、(3)大規模科学者データベースの構築、(4)実証データに基づく計量分析から成る。特に実証研究においては、日本の大学研究者を対象としたフィールド調査(質問票調査等)に加えて、政策担当者を対象としたインタビュ調査、また欧米諸国との比較調査を行った。さらに、大規模データベース構築においては、(1)科学研究費補助金データベース、(2)科学書誌情報データベース、(3)科学者キャリア・データベース、(4)博士論文データベースを統合することによって、科学生産に関する多面的な分析を可能とした。以上の研究から得られた成果は多数の国際学会および国際学術誌に報告された他、書籍としても出版されている。
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