研究実績の概要 |
平成26年度の実績は以下の通りである:
(1) 平成25年度に実施した Lowest Unique Integer Game (LUIG, これまでは "Do-It-Yourself Lottery")の被験者実験(プレイヤ数が 3 ないし 4 かつ戦略数が 3 ないし 4)データを引き続き分析した。その結果、(a) どのゲーム設定でも混合戦略均衡をプレイできたのは全体の半分以下であり、ランダム戦略との差異が大きいとその割合は増大する、(b) 戦略を変更する回数は混合戦略均衡の期待値よりも低い、(c) 戦略を変更した回数と勝った回数とでは負の相関がある、(d) ゲーム結果の分布は混合戦略均衡から求められる期待値とあまり変わらない、(e) ゲームの効率性(勝者がいる頻度)も同様であり、しかも実験が進んでも上昇しない、であった。 (2) 上の実験結果を用いて、プレイヤの行動を学習モデルから推定したところ以下のことが得られた: (a) 混合戦略均衡をプレイしないプレイヤは単純な Adaptive Learning によって推測される、(b) 混合戦略均衡に近い行動をするプレイヤはゲームの結果を直接的に意思決定に反映させる Naive Imitation を用いる、(c) 平成25年度に提唱した、プレイヤがゲームの結果から相手の行動を不完全に推測する Quasi Fictitious Play の説明力が低いだけでなく、プレイヤ数や戦略数が多いと他者を意識するという直観に反する推定結果が出る。 (3) 社会システムとして LUIG を少数派ゲーム(Minority Game、以下 MG)と比較したところ、特にマクロ面では三人 MG に似たようなゲーム結果を得ることが分かった。これは三人 MG と LUIG は勝者がいたとしても一人だけであるため、協力的な行動が発生しないことによる。
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