研究課題/領域番号 |
24710173
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
齊藤 史哲 青山学院大学, 理工学部, 助教 (30625132)
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キーワード | 学習ベクトル量子化 / 管理図 |
研究概要 |
本課題の目的は学習に基づいた多次元管理図を構築することであり,データ中の外れ値を如何に視覚的に理解しやすく表示するかが重要なポイントになる. 平成25年度の研究の大枠としては,学習に基づいた多次元管理図を構築するうえで重要となる,外れ値検出方法について研究を進めてきた.ここでは,外れ値の検出において近年利用され始めているPeculiarity Factorを学習ベクトル量子化を用いて近似計算することで,Peculiarity Factorにおける頑健性の欠如や計算量の問題を克服することができた. 平成25年度における実績としては,上記の研究成果を国内会議にて1件(インテリジェントシステムシンポジウム2013),国際会議にて1件(HCI International 2013)発表することができた.学術論文誌には現在投稿中であり,平成26年度中の掲載を目指している.また,上記の国内会議における発表に対して後日,電気学会より技術委員会奨励賞を頂くことができた.この受賞は本研究の内容に対して,外部から一定の価値が認められたものであるといえる. また,副次的な研究成果として,上記の研究や調査から得られた知見およびアイディアを他のマイニング分野へ応用をすることができた.この結果,Web上に散在する製品評価のデータの可視化法を提案することができた.この内容についても既に学術論文誌に投稿中であり今年度中の採録を見込んでいる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題において最終目標としていた多次元データ管理図の可視化アルゴリズムの構築が想定以上に困難であった.このため,目標達成のために提案法の基本指針を変更することになってしまい,当初の予定よりも検証実験に遅れが生じ,前年度中に参加する予定であった国際会議・国内会議への出張および学術論文誌への投稿に遅れが生じてしまった. これに伴い,補助事業期間を延長(平成26年度終了に変更)させて頂いている. 残りの延長期間(平成26年度中)にこれまで遅れをとっていた論文の執筆や学会発表をこなしていく予定である.また,学術論文の審査も概ね順調に進んでいるものの,査読が長期化するリスクも考慮に入れると,この補助期間の延長は妥当な判断であったと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,予定よりも遅れてしまった論文の執筆および学会発表を中心に進めていく. 学術論文誌へ投稿中の論文は,何れも査読者からのコメントへの対応は既に完了しており,結果待ちの段階である.この結果に対する対応や手続きを最優先事項として進めていく. また,本研究の副次的成果である,他のマイニング技術への応用に関する成果を国内外の会議にて発表する予定である(これは,学術論文誌には投稿済みではあるが,国内外の会議では未発表であるため). さらに,予定変更前の本事業における最終目標であった,多次元管理図の可視化を学習ベクトル量子化の周辺技術による達成を目指す.これは,カーネル変換したデータセットに対して異常値クラスと正常値クラスを教師信号とした教師あり自己組織化マップを適用することで実現可能であると考えている.現時点では,予備的な実験を一通り完了しており,夏季休業中の論文投稿および秋季の国内学会での発表を予定し,並行して(優先順位は上記の作業よりも低いが)進めていく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた提案モデルの構築が想定していた以上に困難であったため,本テーマの目的を達成するうえでの計算方法を変更せざるを得なくなってしまった.これに伴い,検証実験においても当初の予定よりも大幅に遅れが生じてしまい,予定していた論文誌への掲載および会議・学会での発表が来年度にずれ込んでしまった.このため,学会誌への掲載料および出張の旅費が計画通りに消費する事ができなかった. 学術論文は現在,電気学会論文誌に投稿中であり,掲載料は9万円程度を予定している.また,2014年にクアラルンプール(マレーシア)で開催される国際会議IEEE-IEEMもしくはサンディエゴ(米国)で開催されるIEEE-SMCのいずれか一方において,研究成果の発表を予定している.国内学会はインテリジェントシステムシンポジウム,経営工学会全国大会への参加を予定している.これらの出張への参加費・旅費に残りの20万円を充てる予定である.
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