研究課題/領域番号 |
24710178
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研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
小口 正弘 独立行政法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 研究員 (20463630)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 物質フロー・ストック分析 / 省資源化 / 製品機能 / 耐久消費財 / 電気電子機器 |
研究概要 |
機能ベースの保有・排出台数推計の基礎データとして,ある単位機能を持つ製品の出荷台数データを出荷台数統計データと店頭販売(POS)データに基づいて作成する方法を検討し,携帯音楽再生機能,インターネット接続機能,デジタルカメラ機能,携帯電話機能,衣類洗濯機能,衣類乾燥機能を対象にデータの作成,整備を行った。具体的には,機種ごとの販売台数データを収録するPOSデータを用いてある単位機能を有する製品とそれ以外の製品の販売比率を求め,携帯電話などの製品カテゴリごとに整備されている出荷台数統計データに乗じて機能ごとの出荷台数データを作成した。 次に,使用年数(寿命)分布モデルと出荷・保有の台数収支を組み合わせた保有・排出台数推計手法を援用し,ある単位機能を持つ各種製品の保有・排出台数を推計し,それらを積み上げて機能ベースの総保有・排出台数を推計する方法を検討した。先に整備した機能ごとの製品出荷台数データを用いてこの方法の適用可能性を示し,機能ベースの保有・排出台数の推計方法として確立した。 これらの方法を用いて,洗濯乾燥機とスマートフォン(多機能携帯電話)を例にその普及による機能ベースの保有台数の推移を試算した。洗濯乾燥機の普及によって単機能の洗濯機と乾燥機の保有が減少しており,洗濯乾燥機という複合機能製品はそれぞれの単機能製品を代替していた。一方,スマートフォンについては,その普及によって従来型の携帯電話の保有こそ減少しているものの,音楽再生機能やデジタルカメラ機能等の他の機能については従来の単機能製品の保有が顕著に減少していなかった。このケーススタディより,複合機能製品の普及はその主機能については従来の単機能製品を代替するものの,他の機能については必ずしも単機能製品を代替せず,機能の保有水準を押し上げる結果となることがあることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度に計画していた製品機能の有無ごとの出荷台数データ作成方法および単位機能に着目した場合の機能ベースの保有・排出台数の推計手法開発に加え,洗濯乾燥機およびスマートフォンという複合機能製品を対象にこれらの持つ複数機能についての機能ベースの製品保有台数を時系列的に試算し,複合機能製品の普及による従来型単機能製品の代替効果を定量的に示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
スマートフォンによる従来型単機能製品の代替効果の推計の中で,携帯音楽プレーヤーやデジタルカメラの保有台数の推計における保有台数の推計値と統計値や市場調査値の整合性を確認しつつ,推計の修正を行う。保有台数に加えて機能ベースの排出台数の推計を行うとともに,各種製品の素材構成比や金属含有量データを用いて保有・排出台数を素材や金属元素の使用量に換算し,複合機能製品の普及による物質・金属元素等使用量の推移,省資源化効果を定量的に示す。また,可能な範囲でケーススタディの対象機能を増やすことを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は,市場調査レポートの追加的購入に加え,成果発表のための国際学会参加費及び旅費,論文英文校閲に使用する予定である。
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