複合機能製品の普及が物質使用量にもたらす影響を定量的に計測するため,製品機能に着目した機能ベースの物質ストック・排出量を推計する手法を開発し,いくつかの製品を事例に分析を行った。例えば,洗濯乾燥機は洗濯機と衣類乾燥機の大部分を代替しており,機能の複合化が省資源化に寄与していた。一方,スマートフォンは,携帯電話機能については従来型の携帯電話を代替していたが,音楽再生やデジタルカメラ機能については単機能製品をほとんど代替せず,機能の追加的保有に結びついていた。このように,複合機能製品の普及は必ずしも省資源化に寄与せず,社会全体としてはかえって物質使用量を増加させるケースも存在することを示した。
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