研究課題/領域番号 |
24710182
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
前田 文孝 東京大学, 生産技術研究所, 特任助教 (80559930)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / 多国籍 |
研究概要 |
平成24年度は、画像解析・識別処理・追尾処理の各処理における入出力間で自己学習を行うことにより、画質、画角ともに理想的な水中物体の映像を取得するアルゴリズムの開発のためのデータを取得し、データ解析に着手した。物体の検出追尾アルゴリズムの高精度化については、双日ツナファーム鷹島株式会社の協力により、養殖生簀中の遊泳魚体の観察データを取得し、数百尾単位の魚体の自動検出・追尾データによる尾数計測を可能にするアルゴリズムの開発を行っている。また物体の学習的自動判別アルゴリズムの研究開発については、北海道総合研究機構の協力を得て、水産資源であるサケ・マスの遡上中の魚体に対して、高精度で検出・追尾するためのパターン認識を用いた検出・判別手法の開発を行うため、養殖場や河川においてソーナーを固定して取得した実データを用い、統計解析を進めてきた。 そのほか、またH25年度の計画実施のために、移動型プラットフォームとしてASV(Autonomous Surface Vehicle, 自律水上構想ビークル)を音響カメラ撮像用治具として試作し、映像取得ソーナーを搭載し、ターゲットを補足しながらASVに追尾・撮像するアルゴリズムを開発する実験の準備を進めている。上記の検出追尾アルゴリズム、および物体判別アルゴリズムを開発したのち、このASVに実装させることにより、音響映像による水中捜索オペレーションにおける能動的な物体判別が可能になるほか、生物環境・生物多様性保護のための魚体運動の自律観測が可能になり、研究内容とその応用性が当初の見込みよりも広がる見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
劣悪な信号環境下において、ソーナー画像に対する画質向上処理・追尾処理・画像解析/識別処理の、各処理における入力・出力間での相補的な学習のアルゴリズムを開発するために、開発評価試験・及び経年劣化に関する映像データ取得試験を実施できた。この試験では、目標検出追尾処理と入力画質との相関を解明するために実海域でソーナーを用いた魚群などの複雑に運動する映像データを取得し、これまでに研究してきた画像検出・追尾処理の相補的学習手法と、既存の機械学習による画像識別手法開発結果を評価した。 また、上記で取得したデータを基に、これまでに開発してきたノイズ除去などの画像処理手法を適用し、環境原因などで劣化した画像を良質画像に補完する画像処理と、後段の識別処理の定量的な結果との関係を明らかにするための画像処理手法を検討し、最適な画像処理手法を開発するめどが立った。
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今後の研究の推進方策 |
1.画像検出と追尾間の相互学習型画像特定手法研究 映像ソーナーを船舶や海中ロボットなどに艤装し、自身の航走位置・市政情報を把握しつつ映像内の海底固定目標と海中移動目標の映像を取得し、併せて検出物の位置を算出しつつ移動体の検出を行うためのデータ取得試験を実施する。試験時にはGPSなどの座標情報とともに、モーションセンサー・磁気コンパスなどの姿勢センサ上方を用いてソーナー映像の幾何補正を行い、目標画像の検出の精度を高めるためのアルゴリズム及びセンサーシステムを用いた映像取得試験とする。 2.画質向上と機械学習間の相互学習型画像識別手法研究1.で取得した試験データをもとに、観測システムに対して相対運動を行う目標に関して取得した映像が悪化したケースに対しても、学習的に画像を正しく検出追尾するアルゴリズムを開発し、試験によりその開発結果を実証する。観測系が移動することによる画像の形状変化を補正し、検出物の識別率を向上させ、海中の能動的な捜索、探査において目標を効果的に検出・識別するためのアルゴリズムを開発する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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