本研究は、災害対応と地球環境問題の解決に寄与する分散型の地域エネルギー拠点の計画手法を開発することを目的とし、地域の災害安全性や、需要密度、資源賦存量等に基づき整理し、その要件を満たす地域を抽出する手法の開発および評価指標づくりを目指すものである。 本年度は、昨年度までに整理した各種統計データ、建物現況等の地理空間情報とエネルギー消費原単位を用いて、防災性能と環境性能の観点から地域エネルギー拠点構築の効果と課題を整理し、地域エネルギー拠点の適地抽出手法と拠点構築の具体像を提示した。また、需要家が保有するエネルギー設備データを分析し、重要施設における分散型電源導入の妥当性を確認するとともに、拠点の中核となりうる病院における停電対応の実態と課題を整理し、非常用設備の整備と運用面での工夫の重要性を示した。 さらに、東日本大震災を契機に各地で導入が進められている地域エネルギーシステムの実態調査、再生可能エネルギー固定価格買取制度の運用見直しや電力小売り全面自由化に向けた社会動向調査を実施した。あわせて、電源・蓄電設備やエネルギー管理システムなどの技術開発状況、防災や建築等に関する規定に関する調査を行った。 本研究の成果は、限られたエネルギー源を無駄なく使い、災害時にも機能を維持できる都市・地域づくりに寄与すると考える。
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