研究課題/領域番号 |
24710185
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
梶谷 義雄 京都大学, 防災研究所, 准教授 (80371441)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 重要社会基盤 / 社会経済的影響 |
研究概要 |
平成24年度は,社会基盤被害がもたらす地域拠点(企業,病院,避難所等)への影響に関する実態調査を実施した.まず,社会基盤施設(電力,水道,ガス,道路等)の復旧や機能障害による社会経済的影響に関する既往研究を調査し,モデル化の手法や異なるモデル間の連携方法について整理を行った.次いで,2011年3月11日に発生した東日本大震災における社会基盤被害と企業・地域拠点に関する公表情報の調査を実施した.具体的には,社会基盤の復旧データベースをできる限り細かい時間・空間スケールで構築するとともに,地方新聞や業界紙を含めた報道情報を整理し,病院・避難所の被害状況や企業の被災状況・復旧に関するポイントデータを作成した.東北地域や関東地域に立地するいくつかの企業や機関については,直接訪問し,生活必需品や中間投入財の過不足等の災害後から直面した困難な状況に関する情報の収集を行った.このデータベースを,GIS上の地震動や津波浸水域等のハザードの情報と重ね合わせ,災害影響のシミュレーションの基盤データとするための準備を行った.空間的に不足する情報については,空間内挿等を実施した.さらに,既往研究をベースにライフラインの途絶影響,設備被害とその回復過程を考慮した企業の災害時の生産能力の評価モデルを構築した.基盤データとして作成した東日本大震災の社会基盤や被災企業のデータベースに生産能力の評価モデルを適用した結果,鉱工業生産指数との相関性が高いなどの良好な結果が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は東日本大震災のデータベースの作成を中心に実施した.供給不足の要因についてある程度解明できるなど,順調に進んでいる.東日本の社会経済的影響に関するデータが膨大であることから,次年度以降も引き続きデータベースの拡充を図る予定である.
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今後の研究の推進方策 |
社会基盤の復旧と地域拠点への影響評価に関する統合モデルの開発に着手する. ・エージェントベースモデルに基づく社会基盤の復旧モデルの構築 社会基盤の個別の要素やオペレーター一人一人,あるいは集合を基本的な動作・作用パターンが決まったエージェントとし,被害からの復旧日数を予測するモデルの構築を試みる. ・地域拠点への影響評価モデルの構築 昨年度の実態調査で取得したデータに基づき,人口分布や主要産業の分布を考慮した被災地域全体の財・サービスの過不足を評価する方法を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
備品:500千円,消耗品:250千円,旅費:500千円,その他:100千円で実施する. 備品は,大規模のシミュレーションを実施するためのPCの購入に役立てる.現地調査や専門家との打ち合わせのために旅費を多めに確保している.
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