研究課題/領域番号 |
24710191
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
城下 英行 関西大学, 社会安全学部, 助教 (10581168)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 防災学習 / 防災教育 / サイエンスコミュニケーション / 防災学習センター / 正統的周辺参加 / 防災共育 |
研究概要 |
研究計画に基づき、今年度は理論研究ならびに英国の防災学習センターの現地調査を行った。 理論研究では、正統的周辺参加理論の再検討を行い、新参者の実践共同体への参加という観点に加え、新参者の参加によって実践共同体が変容し、その実践共同体の変容によって、古参者もまた学習するという双方向の「学び合い」について理論的に検討した。また、地震観測所における防災学習の観察によって、古参者の側が新参者の意義を認めていることが、新参者の学習の機会を生み出していることが確認された。 英国の防災学習センターの現地調査は、2012年9月に行った。当初の計画では、エジンバラ市のRisk Factory及びニューカッスル市のSafety Worksを訪問する予定であったが、防災学習センターの協議会の情報交換会が、レスター市のWarning Zoneで開催されたため、情報交換会への参加とWarning Zoneの訪問を行った。 情報交換会は、年に2回の頻度で開催されており、センターの運営に関する実務的な情報交換の場となっている。情報交換会から、英国の防災学習センターは、その規模や運営主体の違いがあるが、何れのセンターも大きくは異なっていないということが判明した。すなわち、1)シナリオベースの学習環境の提供、2)ボランティアガイドによる運営、の2点が学習センターの共通点である。 Warning Zoneでは、設立時からセンターに関わっている職員に、運営上の工夫や問題点に関するインタビュー調査を行った。防災や安全に関して専門知識を持たないボランティアが専門的にガイドを行うことができるようになるための体系だった研修や教材を準備していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成24年度は、当初の計画通り、防災学習に関する理論研究ならびに英国の防災学習センターの調査を実施することができた。また、平成25年度に調査を行う予定であった大阪府の津波・高潮ステーションにおける活動も24年度に開始することができ、当初の計画以上に順調に進んでいると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降も、おおむね当初の計画に基づいた研究遂行を予定している。平成25年度の研究遂行上の課題としては、大阪三島医療センターの防災学習センター設置計画が当初とは異なる見込みであり、防災学習シナリオの検討がやや具体性を欠くものとなる可能性がある。情報収集に努めることで、最も現実に近いシナリオの検討を行えるようにする予定である。万一、大阪三島医療センターを対象にすることが困難となった際には、研究計画を逸脱しない範囲で、大阪府津波・高潮ステーションにおいて同様の研究を実施することも検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に購入予定であった書籍を購入しなかったために、若干の研究費を繰り越すこととなった。当該繰越額については、次年度初頭に計画通り書籍を購入することで執行予定である。 平成25年度の予算については、当初の計画通り、ワークショップの運営、記録のために支出する見込みである。
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