研究課題/領域番号 |
24710193
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 富山高等専門学校 |
研究代表者 |
村山 雅子 富山高等専門学校, 国際ビジネス学科, 助教 (60369965)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 津波 / AISデータ / 防災 |
研究概要 |
本研究は、津波警報発令時に航行中の船舶および港内の船舶が避難することを想定し、避難船舶の危険度について動的シミュレーションを用いて検討することを目的としている。検討対象海域は、交通量が多く輻輳度の高い大阪湾とした。 平成24年度は、まず海上交通量を把握するため、統計資料、およびAIS(船舶自動識別装置)受信データを用いて大阪湾における海上交通量を調査した。AISデータを分析することにより、統計資料からは得られない船舶の詳細な情報や日付別・時間帯別の交通量を把握することが可能となるため、AIS受信データを整理するためのデータベース構築における条件を整理した。 次に、緊急時に船舶が避難し、安全に津波をやり過ごすことができる海域(以下避難想定海域)を海図を基に想定した。大阪湾の主要港である阪神港大阪港区・堺泉北港区・神戸港区の出入港資料を基に、指定錨地から大阪湾北部の避難想定海域として設定した。 さらに設定した避難想定海域と、AIS受信データを基に確認した船舶の通航実態から避難経路を設定した。 また、津波流データについて、2011 年3 月に発生した東北大震災を踏まえて、「南海トラフの巨大地震モデル検討会」において新たにマグニチュード9 クラスの巨大地震を想定した検討が行われ、その結果が平成24 年8 月に発表されたことから、この新想定の東南海・南海地震の津波波源モデルに基づき計算し、津波流データを整備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を進める中で、研究の遂行上、より成果が得られることが考えられたことから、平成25年度の研究内容として計画していた「避難海域の想定」および「避難経路の設定」の一部を平成24年度に実施した。 また、2011 年3 月に発生した東北大震災を踏まえて、内閣府において新たにマグニチュード9 クラスの巨大地震を想定した検討が行われ、その結果が平成24 年8 月に発表されたことから、この新想定の東南海・南海地震の津波波源モデルに基づき計算し、津波流データを整備した。 これらのことから、平成24年度の研究計画の一部に達成できていない内容があるものの、平成25年度の計画の研究内容の一部は平成24年度に既に実施しており、研究全体を通してみるとおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度においては、まずデータベースを構築する。平成24年度に収集したAIS受信データを整理するためにデータベースを整備し、大阪湾の海上交通量を把握する。 次に、構築したデータベースを用いて、平成23年3月の東北地方太平洋沖地震に伴う津波警報発令時の大阪湾の船舶の避難行動について分析する。 また、潮流データを整備する。大阪湾の潮流について資料調査し、流速が大きい日の潮流データをPOM(Princeton Ocean Model Version pom2K)を使用し計算する。 さらに、平成24年度に想定した船舶の避難海域および避難経路の安全性について検討する。避難想定海域において1)船舶が錨泊し津波をやりすごすことができるか、2)避難経路を通り船舶が安全に避難できるかについてシミュレーションを行い検討する。津波流は、平成24年度に整備した大阪湾の津波計算結果データを用いる。また、避難海域の地形を海図を基に調査し、何隻程度の船舶を受入れ可能か想定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費:平成25年度は、シミュレーションにおいて高度な並列計算を行うため、高性能の計算機が必要であることから、ワークステーションを購入予定である。また、計算に必要なデータ収集および計算結果分析のため、統計解析ソフトウェアパッケージを購入する。本研究を進める中で、研究の遂行上、より成果が得られることが考えられたことから平成25年度の研究内容として計画していた一部を平成24年度に実施した。一方、平成24年度に実施予定であった研究の一部を次年度に行うこととした。この一部の変更に伴い、平成24年度に購入予定であった物品の一部を、次年度購入することとした。 旅費:研究成果を国内外において開催される学会・国際会議にて発表するため、及び船舶避難については運航者や港湾管理者など多岐にわたる分野から情報収集を行う必要があるため旅費を使用する。 謝金など:船舶の交通量や地形データなど多量のデータを収集・分析するため、計画期間内に研究を実施するためには研究補助の有無は重要となるため、データ整理に謝金を使用する。 その他:研究成果を公表するための複写印刷費や学会への参加登録費、英文論文の完成度を高めるための校閲費、研究のPRに関して使用する。 消耗品:データ保存用の外部記憶媒体、研究打ち合わせのための資料印刷などに使用する。
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