研究課題/領域番号 |
24710200
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
片岡 香子 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 准教授 (00378548)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 火山 / 洪水 / 土砂災害 / ラハール / カルデラ / ダム湖 / 地中レーダ / 火山防災 |
研究概要 |
カルデラ火山周辺で起こるラハールは,より下流域にインパクトを与え,甚大な災害を及ぼす可能性が非常に高い現象である。本研究では,日本の代表的なカルデラ火山周辺に分布するラハール地形と堆積物を,堆積学・地形学・古洪水水理学の視点および物理探査的手法(地中レーダ探査:Ground Penetrating Radar (GPR))により解析することで,過去に発生したラハールによる流れの挙動と物質輸送を定性定量的に明らかにし,火山噴火後に起こる多様なラハール現象の噴火後シナリオを示すことで,総合的な火山土砂災害評価を行うことを目的とする。 本年度は十和田カルデラ周辺奥入瀬川下流域のラハール堆積物と地形について調査を実施した。ラハール堆積物の地質断面観察と堆積相解析を行い,上下流方向や側方への堆積物の分布を把握した。また,1)カルデラ湖決壊由来の洪水堆積物,と2)十和田八戸火砕流堆積物の上位に発達するラハール堆積物について,GPR探査を実施した。機器はSensors & Software社製Pulse EKKO PRO(アンテナは,50MHz,100MHz)を用いた。探査の結果,決壊洪水堆積物中に,露頭では追跡不可能なスケールでの,セット高が数m,かつ長波長の大規模な堆積構造が明らかとなった。また巨礫の含有を示唆するような放物線状のイメージも得ることができた。火砕流堆積物の上位に発達するラハール堆積物からは,短波長のチャネル構造を示唆するイメージを得た。CMP (common mid-point)法により地盤の速度を解析し,決壊洪水堆積物もラハール堆積物も約0.05m/nsの値であった。また電磁波の浸透が良いところでは,表層から8m程度の深度までの堆積物の内部構造を読み取ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は十和田カルデラ周辺のラハール堆積物(降雨由来・カルデラ湖決壊洪水由来)に対する地質・地形調査および地中レーダ探査を行った。GPR機器も出力が大きなものを使用し,より低周波のアンテナを用いたことにより,地下深くまでの画像を得ることができた。そのため,決壊洪水堆積物や降雨型ラハール堆積物の基盤となる軽石質火砕流堆積物との概ねの境界を把握することができた。このことは,埋没している火砕流堆積物およびそれを覆うラハール堆積物の分布や堆積量を知る上で非常に重要である。地質調査から判断できる決壊洪水堆積物と降雨型ラハール堆積物の層相・堆積相の違いは, GPR断面においても,両者のパタンの違いとして反映されることが理解できた。またCMP法により,正確な地盤速度を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究の結果,地中レーダ探査が,火山地域において非常に有用であることが明らかとなった。このため,今後は,より広域に探査を実施することにより,降雨型ラハール堆積物・決壊洪水堆積物・埋没する火砕流堆積物の地下での3次元的分布を把握し,堆積量の見積もりの際の基礎データとしたい。また,降雨型ラハール堆積物・決壊洪水堆積物の内部構造もGPR断面には鮮明に現れているため,これらの堆積構造をもとにベッドフォームやチャネル形状の復元にチャレンジしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度において来日予定の協力研究者の訪問日数が少なかった。今年度は協力研究者が比較的長期間,研究代表者を訪問するため,より多くの日数を地質調査と地中レーダ探査に費やす。また,探査機器の一部を改良する必要が出てきたため,昨年度実施しなかった研究費の一部をそれにあてる。
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