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2013 年度 実施状況報告書

カルデラ湖決壊型・降雨型ラハールの堆積量と水理条件,河川回復過程の定性定量的解明

研究課題

研究課題/領域番号 24710200
研究機関新潟大学

研究代表者

片岡 香子  新潟大学, 災害・復興科学研究所, 准教授 (00378548)

キーワード火山 / 洪水 / 土砂災害 / ラハール / カルデラ / ダム湖 / 地中レーダ / 火山防災
研究概要

本年度は,屈斜路カルデラ北方の斜里平野周辺の台地を構成する火砕流堆積物・ラハール堆積物の地質断面観察と堆積相解析を行い,上下流方向や側方への堆積物の分布を把握し,次年度のGPR探査のための用地を選定した。また,沼沢カルデラ周辺では,実際の露頭断面が広く観察できる土採場などでGPR探査を実施し,露頭で認められる堆積構造とGPR断面とのすり合わせを行った。
斜里平野周辺では,屈斜路カルデラから発生したKp1火砕流噴火後のラハール堆積物を検討した。ラハール堆積物は開析された火砕流台地を埋積するように発達したsupra-ignimbrite lahar相と考えられる。堆積物には,トラフ型斜交層理やscour and fill構造が顕著に発達し,まれにガラス質火山灰層の挟在が認められる。このことは,噴火後,斜里平野周辺では浅い網状流路が発達し,ラハールイベントやその後の網状流路内での火砕物の再堆積が起きたことを示す。このような流路の形態はGPR探査でも確認できる可能性が高い。
沼沢カルデラ(沼沢湖火砕流噴火)周辺でのGPR探査では,Sensors & Software社製Pulse EKKO PRO(1000V),アンテナは100MHzを使用した。CMP (common mid-point)法により地層中の波の伝わる速度を求めることで,GPR断面のパタンだけでなく,深度についても正確に一致させることができた。探査では,表層から深度12m程度までの堆積物の内部構造を読み取ることができた。いずれの地点でも下位にある火砕流堆積物の深度には,GPR断面では明瞭な反射面が見られなかった。また,降雨型ラハール堆積物と決壊洪水堆積物とは,GPR断面がそれぞれ特徴的で差異が認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度は,屈斜路カルデラ周辺については,調査対象となる地域が広域であるので,地質・地形調査を実施し,地層や堆積相の分布を把握したにとどまり,GPR探査を行うことができなかった。しかしながら,その他の地域については順調にGPR探査が実施できており,さまざまな堆積物に対するGPR断面を得ている。

今後の研究の推進方策

次年度の屈斜路カルデラ周辺でのGPR探査は調査地域を絞って行う。その他の地域については,順調にGPR探査を実施しており,さまざまなカルデラ火山周辺地域における火砕流堆積物・火砕サージ堆積物・ラハール堆積物(降雨型・決壊洪水型)のGPR断面を得ているため,それに基づく各堆積物の堆積構造やベッドフォーム,チャネル形状の検討を行う。また,GPR断面から推察できる堆積物の分布から堆積量の見積もりを行う。

次年度の研究費の使用計画

本年度の使用額は請求額とほぼ同額であり,次年度使用額が生じたのは,前年度からの繰り越しが多かったためである。また,協力研究者を含めて現地で探査作業ができたため,探査における補助人数を減らすことができ,謝金による支出が抑えられたためである。
今年度も協力研究者が比較的長期間,研究代表者を訪問するため,より多くの日数を地質調査と地中レーダ探査に費やす。また,探査機器や測量機器のアップグレードをするための部品を購入する必要が出てきたため,昨年度実施しなかった研究費の一部をそれにあてる。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] Luminescence dating of scoria fall and lahar deposits from Somma-Vesuvius, Italy2014

    • 著者名/発表者名
      Tsukamoto, S., Kataoka, K.S., Oguchi, T., Murray, A.S., and Komatsu, G.
    • 雑誌名

      Quaternary Geochronology

      巻: 20 ページ: 39-50

    • DOI

      10.1016/j.quageo.2013.10.005

    • 査読あり
  • [雑誌論文] テフラ学:テフラの再堆積2014

    • 著者名/発表者名
      片岡香子・長橋良隆
    • 雑誌名

      第四紀研究

      巻: 53 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] テフラ学:テフラ層の同時堆積性について2014

    • 著者名/発表者名
      長橋良隆・片岡香子
    • 雑誌名

      第四紀研究

      巻: 53 ページ: 111-116

    • 査読あり
  • [雑誌論文] テフラ学:用語法2014

    • 著者名/発表者名
      長橋良隆・片岡香子
    • 雑誌名

      第四紀研究

      巻: 53 ページ: 103-109

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 苗場山山頂の湿原堆積物に挟在するテフラ層2013

    • 著者名/発表者名
      卜部厚志・片岡香子
    • 雑誌名

      第四紀研究

      巻: 52 ページ: 241-254

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Luminescence dating of volcanogenic outburst flood sediments from Aso volcano and tephric loess deposits, southwest Japan2013

    • 著者名/発表者名
      Tsukamoto, S., Kataoka, K.S. and Miyabuchi, Y.
    • 雑誌名

      Geochronometri

      巻: 40 ページ: 294-303

    • DOI

      10.2478/s13386-013-0135-4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 地中レーダ探査による火山性扇状地と砂丘地内部の堆積構造の観察2013

    • 著者名/発表者名
      片岡香子・卜部厚志
    • 雑誌名

      新潟大学災害・復興科学研究所年報

      巻: 2 ページ: 85-86

  • [学会発表] 肘折カルデラ周辺における火砕流・サージ・ラハール堆積物の地中レーダ探査2014

    • 著者名/発表者名
      片岡香子・明野智一・長橋良隆
    • 学会等名
      日本堆積学会2014年山口大会
    • 発表場所
      山口大学
    • 年月日
      20140315-20140316
  • [学会発表] 鳥海火山北麓におけるラハール堆積物2013

    • 著者名/発表者名
      南裕介・大場司・林信太郎・片岡香子
    • 学会等名
      日本火山学会2013年度秋季大会
    • 発表場所
      猪苗代町体験交流館「学びいな」
    • 年月日
      20130919-20130920
  • [学会発表] テフラが示す「偽」同時間面:5ka沼沢湖テフラの例2013

    • 著者名/発表者名
      片岡香子・卜部厚志
    • 学会等名
      日本地質学会第118年学術大会
    • 発表場所
      東北大学
    • 年月日
      20130914-20130916
  • [学会発表] 福島県只見川流域における沼沢湖火砕流噴火後の火山砕屑物再堆積作用:作用・時間・堆積量・河川形状の変化2013

    • 著者名/発表者名
      片岡香子・卜部厚志
    • 学会等名
      日本地質学会第118年学術大会
    • 発表場所
      東北大学
    • 年月日
      20130914-20130916
  • [学会発表] 津軽平野の地形発達と遺跡の消長2013

    • 著者名/発表者名
      小野映介・片岡香子
    • 学会等名
      日本第四紀学会2013年弘前大会
    • 発表場所
      弘前大学
    • 年月日
      20130822-20130825
  • [学会発表] Ground Penetrating Radar (GPR) survey on volcanogenic outburst flood deposits, northeast Japan2013

    • 著者名/発表者名
      Kataoka, K.S. and Gomez, C.
    • 学会等名
      IAVCEI 2013 Scientific Assembly
    • 発表場所
      Kagoshima Prefectural Citizens Exchange Center
    • 年月日
      20130720-20130724
  • [学会発表] Lahar deposits at the foot of Chokai volcano2013

    • 著者名/発表者名
      Minami, Y. Ohba, T., Hayashi, S. and Kataoka, K.S.
    • 学会等名
      IAVCEI 2013 Scientific Assembly
    • 発表場所
      Kagoshima Prefectural Citizens
    • 年月日
      20130720-20130724

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公開日: 2015-05-28  

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