本研究では、次世代シーケンサーを用いて、マイクロRNA (miRNA) の前駆体であるpre-miRNAを効率よく塩基配列決定するための技術開発を行った。そして、種々の細胞における、pre-miRNA上のRNA編集部位の同定や、新たな(pre-)miRNA発現調節機構の解明などの研究へと展開するための研究基盤を確立した。 (1)高出現RNAと相補的なDNA/LNAオリゴの設計・合成 ヒト脳細胞(胎児、成人を各一人ずつ)の全RNAサンプルを企業から購入し、それらを用いて約50から90塩基程度のRNAの次世代シーケンス解析を行った。その結果を基に、出現頻度ランクtop100リストを作成した。このリストと塩基配列データを用いて、出現頻度の高いrRNAやsnoRNAに特異的に結合するDNA/LNAオリゴを、プライマー設計ソフトなどを活用して設計した。 (2)小分子RNA (cDNA) ライブラリーの作製およびライブラリー作製プロトコールの改善 新規に設計・合成したDNA/LNAオリゴ(約50種類)を用いて、各ヒト脳細胞の全RNAサンプル由来のcDNAライブラリーを、申請者が開発したプロトコール (Kawano et al. 2010) を用いて作製した。オリゴの濃度や塩基組成を検討することで、pre-miRNA由来cDNAの産生量には影響を与えず、標的RNAに対してのみ機能するオリゴの最適条件を調べた。また、高次構造をとるpre-miRNAを効率よく逆転写反応できる条件検討を行った。 (3)cDNAライブラリーの塩基配列の決定 HiSeq2000次世代シーケンサーを用いて次世代シーケンス解析を行った。 (4)生命情報科学的シーケンスデータ解析 ( Burroughs et al. 2011) の論文で行った一連の次世代シーケンスデータ解析を研究協力者と共同で行った。
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