我々は、VRK1がヒストンH2A120番目スレオニンをリン酸化すること、転写制御においてこのリン酸化が119番目リジンのユビキチン化と相互に拮抗して機能することをin vitroで証明してきた。しかし、この拮抗作用の実在や分子メカニズムは不明である。本研究で我々は、VRK1によるH2Aリン酸化で転写が活性化され、H2Aユビキチン化で抑制される標的遺伝子を同定した。標的遺伝子の一つであるサイクリンD1の過剰発現が、VRK1ノックダウンによる細胞増殖低下を部分回復できることから、VRK1のH2Aリン酸化によるサイクリンD1転写制御が細胞増殖・癌化の引き金となることが推測される。
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