研究課題/領域番号 |
24710218
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 薫 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (20548507)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
piRNA (PIWI-interacting RNA)は、生殖細胞特異的に産生される小分子RNA であり、その多くは、ゲノム上の転移因子に由来し、PIWI サブファミリータンパク質と特異的に結合する事によって、生殖細胞系において転移因子の遺伝子発現を抑制し、それらのゲノムへの侵略を防ぎ、ゲノムの品質管理を行っている。piRNA はmicroRNA や内在性siRNA といった小分子RNA の生合成とは独立した経路によって産生されていることが報告されているものの、未だ充分な知見は得られていない。本研究では、amplification loop によるpiRNA 生合成がどのような分子機構によって制御されているのかを明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
amplification loop によるpiRNA 生合成がどのような分子機構によって制御されているのかを明らかにするため、Krimp-AGO3 複合体に着目し、以下の3 点について解析を行った。 1)Krimp と相互作用しているAGO3 の分子状態について:Krimpはメチル化修飾していないAGO3に主に相互作用すること、さらに、piRNAをもつ前のAGO3と相互作用することを明らかにした。 2)AGO3 の細胞内局在、及びKrimp-AGO3 複合体形成を制御するドメインの同定:卵巣性体細胞OSCにおいて、AGO3 を強制発現させるとKrimp 顆粒に局在する。これは、AGO3のN末を介して起こる現象であることを明らかにした。また、AGO3のN末はメチル化修飾されることが知られているが、Krimp顆粒への局在にはメチル化は関与しないことを明らかにした。 3)AGO3、及びKrimp 相互作用分子の同定と解析:抗AGO3 及び抗Krimp モノクローナル抗体を用いた免疫沈降実験を行い、現在、結合分子の同定を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
3)AGO3、及びKrimp 相互作用分子の同定と解析 抗AGO3 及び抗Krimp モノクローナル抗体を用いた免疫沈降実験を行い、現在、結合分子の同定を行う。 4)KrimpのAGO3非結合部位に相互作用する分子の単離 2)の解析結果から、Krimp同士の結合部位、及び、AGO3-Krimpの相互作用部位をそれぞれについて明らかにしており、これらの結果を基に、Krimpと相互作用する分子の単離と同定を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究を遂行するために、分子生物学実験用試薬・キット・免疫組織化学染色用試薬、ショウジョウバエの飼育容器と飼料を計上する。また、AGO3、及びKrimpと相互作用する因子の同定の為の質量分析解析費を計上する。
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