研究課題
若手研究(B)
がんなどの疾患の多くは、複数遺伝子が原因で生じ、診断マーカーが多数報告されている。しかし、臨床的に意味がある新薬開発は大変遅れている。申請者はこれまでに、機能性ペプチド候補をハイスループットに抽出するアルゴリズム: BAIUCAS(バユカス)を開発した。本手法は、数万にも及ぶ生物種に対する1億以上の配列から機能性ペプチド候補を抽出する手法であり、これをヒトゲノムに応用することで、翻訳制御型ペプチド抗がん剤の開発が期待できる。今年度は、このBAIUCAS法の問題点を改良し、今まで、シロイヌナズナしか解析できなかった問題や、ヒトゲノムを解析する上で、障害となる情報爆発の問題に取り込んだ。BAIUCASは、6つのステップからなる手法であったが、各ステップの中身やステップの順序の最適化を図って以下の様な12ステップからなるアルゴリズムへ大幅に改良した。旧バージョンから、大きく性能が向上した点として、(i) データベースEnsemblを利用して様々な生物の5’UTR情報取得を自動化 (ii)出力されるデータ量を1/10まで減らす事に成功(ヒトのゲノム解析対策) (iii)データ・計算量が減った分、より信頼性向上のための高度な計算を実装 (iv) uORFの進化的保存性を定量化機能を実装 (v)旧BAIUCAS法の手動の処理をほぼ自動化(vi)DDBJを用いて解析をしていたが、DDBJがWeb APIサービスを停止したので、スタンドアローンで計算出来るように改良したため安定した計算が出来るようになった。以上のように大幅に機能アップした改良BAIUCAS法により、ヒトや植物に限定されずに、真核生物の普遍的なuORFペプチドを解析することにより、機能性uORFペプチドの解明を加速し、抗がん剤開発だけに留まらず、病気の診断、創薬や診断に有用な手法を開発することができると期待される。
2: おおむね順調に進展している
本年度は、当初の計画以上に研究が進展していたが、中部大学から千葉大学への異動があり、その分遅れ、トータルでは当初の計画のとおりに進んでいる。
本研究は、コンピュータによるドライ研究と、実験によりウエット研究による二本柱からなっている。昨年度は、特に、ドライ研究に力を入れたため、多くの研究費は、今年度に繰り越した。今年度は、ウエット研究に力を入れる予定である。
昨年度は、「今後の研究の推進方策」欄に記述したとおり、ドライ研究に力を入れ、多くの研究費を必要とするウエット研究を後回しにした。そのため、繰り越した前年度+今年度予算に、ウエット研究を立ち上げるために、各種試薬やプラスチック器具類、実験を補佐するのため実験補助員の人件費、学会参加費、旅費、論文投稿料などを計上したい。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (6件)
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