本研究は、顕微鏡下でリアルタイムに観測可能で、培地交換が速い微細培養装置を開発することを目的としている。この装置は、細胞の流出を防ぐ小部屋と、培地成分濃度を様々な周波数で供給する発振流路から構成される。培地中の蛍光色素を指標に、小部屋の培地交換速度を計測した。その結果、当初目標の半分以下の10秒程度で培地交換が可能な微細培養装置を完成させた。蛍光タンパク質を合成する大腸菌をこの装置で培養・観察した結果、蛍光タンパク質の濃度が増殖と連動しつつも確率的に変化するが分かった。培地交換速度が速い微細培養装置を開発し、蛍光タンパク質の細胞内合成量が時々刻々と変化し、細胞ごとに多様性が現れることを示した。
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