本研究では、「転写と共役したクロマチン制御」の分子機構の理解を目指して、以下の知見を得た。1)Spt6と直接相互作用する転写装置(RNAポリメラーゼII)の点変異はセントロメア周縁部のサイレンシングを「徐々に」脱抑制した。2)同じくSpt6と直接相互作用するIws1タンパク質は、Spt6と同様に転写領域のヒストン量の維持に貢献し、転写と共役する「ヌクレオソームのずれ」を抑制する。本研究で得られた知見は、転写領域においてエピジェネティックな記憶を維持するためには、RNAポリメラーゼIIがSpt6やIws1と共に丁寧にヌクレオソームを鋳型とした転写を実施することが重要であることを示唆している。
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