研究課題/領域番号 |
24710233
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
沼田 興治 独立行政法人理化学研究所, 動物変異動態解析技術開発チーム, 開発研究員 (10462714)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | DNAメチローム解析 |
研究概要 |
本研究では,少量細胞(微量のDNA試料)におけるDNAメチローム解析手法の開発と,そのデータに内在するバイアスを補正することによる定量的なDNAメチル化状態の算出を目的とする.高速シークエンスをもちいたDNAメチローム解析にはバイサルファイト法やメチル化DNA濃縮などの方法によるものなどがあるが,本研究ではメチル化感受性の制限酵素によって処理したDNA断片の末端を濃縮することによって,制限酵素サイト内のシトシンのメチル化レベルを算出する手法をもちいている.今年度は,①少量の試料においてDNAメチロームデータを得るための高速シークエンス手法の開発,および②同手法をもちいたマウス細胞系譜におけるDNAメチロームのデータ取得を中心に研究をすすめた.前者に関してはプロトコールを確立し,後者に関しては次年度以降も継続していく.また取得したデータの解析も現在進行中であり,過去の知見からみても概ね良好な結果が得られている.今後はデータに内在するバイアスを補正するための定量的データ取得,および統計モデル構築に注力していく.本手法の利点は,他の手法と比べて少量のDNAで解析可能という点である.本研究の最終的なターゲットであるマウスの始原生殖細胞は取得できる細胞数が限られるため,そのような利点がいきる.今後,メチル化以外のシトシン修飾などにも同手法を適用していくことによって,新たな知見につなげていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画は,①少量DNAをもちいてDNAメチロームデータを得るためのシークエンス手法の開発,②同手法をもちいたマウス細胞系譜におけるデータ取得,③他の方法による同一細胞系譜における定量的なメチル化データの取得,④定量的なメチル化状態を予測するための統計モデル構築,から構成される.今年度は①および②に注力した.①は完了し取得したデータの解析をすすめており良好な結果が得られている.また②は現在も継続中である.以上の理由から達成度として「概ね順調に進展」と判断した.次年度は②の継続,および③,④をおこなっていく.
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今後の研究の推進方策 |
本研究ではこれまでに①少量の試料におけるDNAメチロームデータを得るための高速シークエンス手法の開発,および②同手法をもちいたマウスの細胞系譜におけるDNAメチロームのデータ取得をおこなった.今後は,③他の方法による同一細胞系譜における定量的なメチル化データの取得,および④定量的なメチル化状態を予測するための統計モデル構築を中心にすすめる.構築した統計モデルを実際の生体に適用するため,マウスの生殖細胞分化過程を対象としたデータ取得,および構築したモデルの適用をおこなうことによってDNAメチル化状態の変化を明らかにする.またこれらのデータを,すでに論文報告のあるデータ(バイサルファイト法やメチル化DNA濃縮などの方法によるもの)との比較をおこなうことにより,より包括的な解析をおこなっていく.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は,マウス細胞系譜におけるDNAメチロームデータの取得に注力した.そのため,定量的メチル化データの取得にあてる予定の研究費にあまりが生じた.次年度の計画欄にも記載したが,次年度は①マウス細胞系譜におけるDNAメチロームデータの取得の継続,②同一細胞種における定量的なDNAメチル化データの取得,および③統計モデルの構築を中心にすすめる.研究費は主に新たなシークエンスデータの取得,定量的DNAメチル化データの取得(シーケノム社MassARRAYシステムを利用)にともなう試薬消耗品の購入,および統計モデル構築のための計算サーバ,データストレージの購入にあてる予定である.
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