研究課題/領域番号 |
24710247
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯塚 怜 東京大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (90541954)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Gタンパク質共役受容体 / 進化分子工学 / 出芽酵母 / マイクロ流体デバイス / リガンド探索 |
研究概要 |
(1) エマルジョン内でのリガンド合成・リガンドアッセイ法の確立 十字状の流路を持つマイクロ流体デバイスを用い,非常に均一な粒径を有するwater-in-oil(W/O)エマルジョンの作製に成功した.またオイル・界面活性剤溶液の組成を検討し,長時間のインキュベーションを行なっても粒径がほとんど変動しないW/Oエマルジョンの作出に成功した.続いて,出芽酵母に内在性のGタンパク質共役受容体(GPCR)であるSte2 とそのリガンドα-factorをモデル系にし,W/Oエマルジョン内でのリガンド合成およびリガンドアッセイの条件検討を行った.α-factorをコードするDNA,α-factor刺激によりGFPを発現する出芽酵母,再構成型無細胞タンパク質合成系に加え,グルコースをW/Oエマルジョン内に封入したところ,蛍光を発する酵母が観察された.これに対し,全く異なる配列のペプチドをコードするDNAを封入した際は,蛍光性の酵母は観察さなかった.以上より,W/Oエマルジョン内でペプチドリガンドの合成と同時にリガンドアッセイが行えることが実証された. (2) 蛍光性エマルジョンのスクリーニング法の確立 当初計画していた,マイクロ流体デバイス上で蛍光性エマルジョンを赤外レーザーの光斥力により分離・回収することは技術的に困難であった.そこで計画を変更し,微少量の溶液を吸引・吐出できるマイクロマニュピュレータにガラス製のキャピラリーを装着し,マニュアルで蛍光性のエマルジョンを回収する方法を確立した.この方法で同一種類のDNAを多数結合させた磁気ビーズを封入したエマルジョンを回収し,PCRにより内封されたDNAを増幅,クローニング,塩基配列の決定が行えることを実証した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,エマルジョン内でリガンド合成と同時にリガンドアッセイを実現することに成功した.一方蛍光性の酵母を含むエマルジョンの分離・回収は,当初の計画通りには行えないことが分かり,マイクロマニュピュレータを用いて回収する方法を確立した.
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今後の研究の推進方策 |
ランダム配列を有するライブラリーの中からSte2 に作用するペプチドリガンド(α-factor)を内包するエマルジョンを回収,それをコードするDNAの配列を確認し,リガンドの同定を行う.また現在,蛍光性の酵母を含むエマルジョンの分離・回収を自動化すべく,温度感受性ゲルを用い,マイクロ流体デバイス上でエマルジョンを分離・回収システムの構築を進めている.これらの要素技術を組み合わせ,疾患治療の標的となるヒトGPCRに作用するペプチドリガンドの取得を目指に対するペプチドリガンドの探索を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし.
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