研究課題
(1) エマルジョン内でのヒトGPCRに対するリガンド合成・リガンドアッセイ前年度に確立したWater-in-oil(W/O)エマルジョン内でのリガンド合成・リガンドアッセイ系が,ヒトのGPCRに対しても適用可能であるかどうかの検討を行った.マイクロ流体デバイスを用いて,ソマトスタチンをコードするDNAを提示した磁気ビーズ,ヒトソマトスタチン受容体 サブタイプ2(SSTR2)を発現する出芽酵母,再構成型タンパク質合成系をW/Oエマルジョン内に封入したところ,蛍光を発する酵母が観察された.これに対し,全く異なる配列のペプチドをコードするDNAを提示した磁気ビーズやDNAを提示していない磁気ビーズを封入した際は,蛍光性の酵母は観察さなかった.またヒトソマトスタチン受容体 サブタイプ5(SSTR5)を発現する出芽酵母を用いても,同様の結果が得られた.以上より,W/Oエマルジョン内でのリガンド合成・リガンドアッセイ系はヒトのGPCRにも適用可能であることが確認された.(2) ソマトスタチン変異DNAライブラリーの作製Overlap-extension PCR法により,ソマトスタチンの生理活性に重要であるとされている残基をランダム化した変異DNAライブラリーを作製した.次年度に,このライブラリーの中からソマトスタチン様ペプチドをコードするDNAの取得を試みる.(3) 蛍光性の酵母を含むエマルジョンの分離・回収法の開発マイクロ流体デバイス上で,W/OエマルジョンからWater-in-oil-in-water(W/O/W)エマルジョンを生成させ,その内部の蛍光を蛍光顕微鏡にて高感度に検出し,温度感受性ポリマーのゾル-ゲル相転移を利用して蛍光性のW/O/Wエマルジョンを分離・回収することに成功した.これにより,蛍光性の酵母を含むエマルジョンの分離・回収の自動化が可能となった.
2: おおむね順調に進展している
エマルジョン内でのリガンド合成・リガンドアッセイ系がヒトのGPCRにも有効であることが確認できた.また,蛍光性エマルジョンの分離・回収の自動化に成功した.前年度の成果と合わせ,ヒトGPCRに対するリガンド探索の基盤が整った.
ソマトスタチン変異ライブラリーを用い,SSTR2およびSSTR5を作動させるペプチドリガンドを内包するエマルジョンを回収,それをコードするDNAの配列を確認し,リガンドの同定を行う.また,ヒトニューロテンシン受容体 タイプ1(NTSR1)を作動させるペプチドリガンドの取得を目指す.
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