研究課題/領域番号 |
24710251
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
竹田 浩之 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 助教 (40609393)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 膜タンパク質 / 無細胞タンパク質合成 / プロテオリポソーム / GPCR / 抗体 / スクリーニング / DRD1 |
研究概要 |
無細胞合成したプロテオリポソーム抗原を用いた抗膜タンパク質抗体解析法の開発を進めた。ELISA法はプロテオリポソーム抗原の添加量や洗浄回数、384 wellプレートによる高密度化を検討し、スループットの向上に成功した。AlphaScreen法は至適実験条件の検討により、当初よりも数倍の感度向上を達成し、一次スクリーニングのための技術としてはほぼ確立した。また、問題点(培地との相性など)も明らかになった。Biacoreはプロテオリポソームをインジェクトすると高確率で流路が目詰まりすることが判明するなど、一次スクリーニングには適さないことがわかった。しかし界面活性剤で可溶化した膜タンパク質は供することが可能で、ビオチン化した抗原と抗体の結合、またProteinGでキャプチャーした抗体と抗原の結合を検出できる系を確立した。これにより解離定数の算出も行なえることを確認した。 ドーパミン受容体DRD1のプロテオリポソームをコムギ無細胞タンパク質合成系を用いて合成し、これを抗原としてマウスに免疫し、約800クローンのハイブリドーマを作製した。800種類全てについてELISAおよびAlphaScreen法でスクリーニングした。その結果、AlphaScreenとELISAでDRD1に対する結合が異なる抗体を産生する株が多数見られた。143抗体についてWestern blottingと免疫沈降法により結合様式を精査した。その結果、AlphaScreenは構造認識型抗体、すなわち未変性抗原に結合するが変性抗原に結合しない抗体を、ELISAに比べてより選択的に検出することが分かった。ELISAはAlphaScreenに比べると偽陽性クローンの可能性がやや高まり、スループットに劣るものの、ハイブリドーマの培地などによって結果が左右されないなど、汎用性の面では依然メリットある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
24年度において計画していた、無細胞合成したプロテオリポソーム抗原を用いたELISA, AlphaScreen, Biacoreによる抗体解析技術の確立を達成した。また、すでにGPCRの抗体産生およびスクリーニングに着手し、AlphaScreenとELISAを用いたスクリーニングによりDRD1特異抗体を多数特定している。また、25年度に予定していた抗体の結合様式解析をすでに実施し、ELISAとAlphaScreenにおける抗体検出傾向の差異について結果を出している。 これらの結果から、当初の計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
24年度にスクリーニングした抗体クローンの解析をさらにすすめ、計画で予定していたエピトープ決定、免疫染色、生理機能解析などを進める。また、24年度に作製したマウスによるDRD1の抗体作製の1例だけではなく、他のGPCRの抗原や、マウス以外の抗体作製系を用いた抗体作製およびスクリーニングが実施可能かどうか検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当無し
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