H24年度はELISAおよびAlphaScreenの高密度化、ハイスループット化を進め、抗体スクリーニングの基盤をほぼ確立した。また、ドーパミン受容体DRD1の抗体作製をモデルにスクリーニング系の比較検証を実施し、AlphaScreen法が構造認識抗体の選抜に有効であることを示した。 H25年度は昨年度判明したAlphaScreenにおいてビオチンが添加された培地において抗原抗体反応がうまく検出できない問題点を解決するため、培養上清の前処理を検討した。ProteinGセファロースと96穴フィルタープレートを用いたハイスループット精製系により、上記問題を解決した。 AlphaScreen法を応用して抗体のエピトープを決定する系を開発した。抗原DRD1の各ループ領域を別のGPCRと交換したスワップ変異体を作製し抗体との結合をAlphaScreenで観察した。前年度得られた抗体のほとんどはDRD1のC末領域を認識する抗体で、1抗体のみ細胞外第二ループを認識、結合することが分かった。 また、抗体の詳細なアフィニティを算出した。得られた抗体の中にはBiacore で全く解離が見られず、正確なカイネティクスを算出できないものがあったため、ELISAとスキャッチャードプロットを用いてアフィニティを算出した。調べた抗体のうち、約半数はKd値が0.1 nM程度と非常に高いアフィニティを示した。同様の手法を用いて、抗体のサブタイプ特異性を確認した。DRD1のマウスおよびヒトホモログ6種を無細胞系を用いてプロテオリポソーム上に合成し、抗体と反応させた。抗原-抗体反応はAlphaScreenを用いて検出した。その結果、得られた全ての抗体はDRD1以外のファミリーには交差反応しない非常に特異性の高い抗体であることがわかった。そのうち1/3はマウスDrd1にも反応せず、ヒトDRD1特異的な抗体であった。
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