研究課題
Streptomyces nodosus subsp. asukaensisのゲノムをゲノムシーケンサーなどを用いて、アスカマイシンの生合成遺伝子クラスターにクローニングに成功した。各タンパクの機能を確かめる目的で、シクロヘキサン合成酵素の機能を破壊した株⊿asuB3、およびC5N部分を合成する酵素を破壊した株⊿asuD2、両方の機能を破壊したダブルノックアウト株⊿asuB3/D2を調製した。⊿asuB3は、シクロヘキサン部分が欠如した類縁体が産生されていた。また、⊿asuD2はC5N部分が欠如した類縁体が、⊿asuB3/D2は、両方の部分の化学構造が欠如した類縁体が産生されていた。そこで、これら破壊株に、生合成中間体によく似た基質を加えて培養すると、全く新しい類縁体が産生されると考え、⊿asuB3に、シクロペンタンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸などを添加して培養したところ、シクロヘキサン部分が置き換わった化合物が産生されていた。さらに、ダブルノックアウト株⊿asuB3/D2に、これらカルボン酸を加えたところ、C5N部分は欠如し、シクロヘキサン部分が置き換わった類縁体が産生されていた。この他にも、様々なシクロアルカンカルボン酸を添加して取り込み実験を行った。一方、調節遺伝子asuR1およびR5を導入した菌株は、野生株と比較すると約10倍のアスカマイシンの生産量があった。このことから、⊿asuB3および⊿asuB3/D2に調節遺伝子asuR1またはR5を導入した株も、種々のシクロアルカンカルボン酸を添加した場合、数倍以上の生産量の向上が期待できる。申請者は、⊿asuB3および⊿asuB3/D2に調節遺伝子asuR1またはR5を導入した破壊株を作製した。この作製した株を利用して、新規類縁体の大量生産できるシステムを構築した。
2: おおむね順調に進展している
平成24年度に示した計画の進捗状況は概ね順調であると考えている。その理由として1)3つの遺伝子破壊株(⊿asuB3、⊿asuD2、⊿asuB3/D2)の作製2)遺伝子破壊株に様々なシクロアルカンカルボン酸を添加して培養し、新たな類縁体の生産を確認3)生産量を増やすための、調節遺伝子を導入した改変株の作製が挙げられる。
遺伝子破壊株(⊿asuB3、⊿asuB3/D2)に調節遺伝子を導入した改変株を作製したので、基質であるシクロアルカンカルボン酸を添加して培養してアスカマシン類縁体の生産量を増加させる。また、得られた類縁体について、細胞毒性やインターロイキン1変換酵素阻害活性などの生物活性を評価したいと考えている。
類縁体の生物活性を評価する上で、生物活性試験するための試薬や細胞、キットが必要となる。また、類縁体の精製に用いるHPLC用のカラムや担体の費用が必要となる。さらに、本年度の成果を広く公開するために、英語論文校閲、論文投稿、学会発表費などの経費が必要となるため、これらに研究費を使用する。
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