研究課題/領域番号 |
24710266
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
實吉 尚郎 独立行政法人理化学研究所, 伊藤ナノ医工学研究室, 特別研究員 (10564784)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 夾雑環境 / 長寿命発光発生型プローブ |
研究概要 |
細胞内のRNA種を検出することは、細胞機能解析や遺伝子発現に立脚した診断法に有用である。しかしながら細胞内のような夾雑環境では、自家蛍光などの影響により目的物を感度良く検出することが難しい。本研究では自家蛍光を長寿命発光発生型核酸プローブと時間分解発光スペクトル法との組み合わせにより回避し感度よく検出できる方法論の確立を目指す。 本年度は、発光を発生させる分子システムの構築をおこなった。希土類を基盤とした発光素子は、長寿命発光性を示す分子群である。その発光を制御する方法として化学反応によるアンテナ部位構築反応を設計、検証を行った。アジド基とエステル基を同一分子内に有するビフェニル分子の合成を達成し、キレーターとしてDTPAを取り付けた。その後、希土類金属イオンを配位させて、アンテナ分子とした。この状態では、無発光状態である。次にアジド基をホスフィンと反応させたところ、アジド基が還元され分子内環化反応により極めて短時間で活性なアンテナ分子へと変換されることを見出した。この化学反応をトリガーとしたアンテナ構築反応により、発光性希土類分子へと変換できることがわかり、プローブの基盤を開発することができた。このユニットを標的mRNAに相補的なオリゴヌクレオチドとコンジュゲートさせることによりプローブ化した。この発光発生型プローブは、もう一方に還元剤をコンジュゲートさせたオリゴヌクレオチドプローブと同時に使用することで標的核酸(ras, rRNA)を感知、検出できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
還元反応を利用することで、中性条件、等温下シグナルを発生できる分子を合成することができた。さらに、オリゴヌクレオチドプローブへと展開、標的核酸分子を感度よく検出できている。
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今後の研究の推進方策 |
オリゴヌクレオチドプローブでの有用性を精査した後、論文発表を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に有機合成試薬などの消耗品、学会発表、論文発表費として使用する予定である。
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