第一に、絶滅危惧種であるイシガイ類二枚貝は下流河川との連続性が高い農業用水路に高い確率で生息し、同所的に豊かな魚類相の生息が確認された。また、そのような生息地は、開発地割合の低い景観構造を有する地域に存在した。第二に、河跡湖における水草種数は水草繁茂面積と正の相関を持ち、生息地の質は、人工的にショートカットされた水域で最も低かった。第三に、湧水河川には特徴的な水生昆虫相が確認され、流域スケールでの分類群多様性に貢献していた。これらより、地形や湧水に着目して景観スケールで流水環境をタイプ分けすることで効率的な水生生物多様性保全が行える可能性が示唆された。
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