研究実績の概要 |
Illuminaシークエンサを用いた短花柱花および長花柱花の雌蕊由来のRNA sequencing (RNA-seq)を実施し、得られたde novoトランスクリプトームアセンブリを対象にして、(1)2つの花型の雌蕊間における発現量解析および(2)SNPs検出を行った。 (1)2つの花型の雌蕊間での発現量解析の結果、長花柱花の雌蕊と比べて短花柱花の雌蕊で有意(FDR < 0.05)かつ3倍以上で高発現していた転写産物(contig)が465個見つかり、また逆に短花柱花の雌蕊と比べて長花柱花の雌蕊で有意(FDR < 0.05)かつ3倍以上で高発現していたcontigが1,005個見つかった。長花柱花の雌蕊で高発現している遺伝子がより多く見られることから、短花柱花の雌蕊においては転写量の抑制を受ける遺伝子がより多い可能性が示された。このことから、対立遺伝子Sが雌蕊の長花柱花の形質の発現において作用する遺伝子群を抑制するリプレッサーであることが示唆された。 (2)日本国内の野生集団から得られた25個体の短花柱花の雌蕊および27個体の長花柱花の雌蕊をそれぞれバルクし、RNA-seqを行った。そして短花柱花の個体バルクでヘテロとなり、長花柱花個体バルクで固定しているサイトを探すことにより、短花柱花の特異的なSNPsを探し出した。その結果、298本のcontigに座乗する376個のSNPsを発見した(1 contigあたり1.3個 SNPs)。 さらに、より詳細な連鎖地図作成を目的としてRestriction Site Associated DNA Sequencing (RAD-seq)を実施し、192個体を用いて連鎖地図を作成した。
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