アスペルギルス症起因菌であるAspergillus fumigatus 及びその関連種を対象に、本邦の主に野外環境における地理的分布とアゾール系薬剤に対する耐性株の実態解明を試みた。A. fumigatusの分布密度は緯度や土壌環境に影響をうけることが示唆された。本菌のイトラコナゾール (ITCZ) 及びボリコナゾール (VRCZ) に対する耐性株は発見されなかった。本菌には地理的距離に関係しない遺伝的分化があることが分かった。一方、A. fumigatus関連種は分離頻度は低いが、広く分布していることが明らかになった。これらの種にはITCZやVRCZに耐性のある株が高頻度で存在していた。
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