研究課題
平成26年度は、研究計画にそって次の5項目にわたる研究活動を行った。1.本研究で抽出した現代アラビア語における新しい表現形態と新語の事例について総括的分析と評価を行い、その成果を「文明語としてのアラビア語の現代的発展」としてまとめ、国際ワークショップで発表した。2.アラビア語の正書法と書道文化の通時的展開について論文を執筆し公刊した(『イスラーム 書物の歴史』所収)。3.現代アラビア語の変容とアラビア語アカデミーの学術ネットワークについて、スーダンとモーリタニアを対象に臨地調査を実施した。スーダンでは「スーダン・アラビア語アカデミー」を対象に、同機関による辞書の編纂と医学用語のアラビア語化(タアリーブ)について聞き取り調査を行い、関連資料を収集した。モーリタニアについては、同地域に広く普及している伝統的なイスラーム私塾(マフダラ)を対象に実態調査を進め、文法教科書の収集と章立て・内容の整理と分析を行った。その研究成果は、日本中東学会第31回年次大会における研究発表、および投稿論文によって広く発信していく予定である。4.上記1の作業で構築したアラビア語の現代用法に関するデータ蓄積を活用し、高度かつ詳細な『アラビア語文法マニュアル』の刊行に向けて各章の執筆と調整作業を進めた。具体的には「説明の対格」「理由の対格」「受動態」「数詞」の各章における用例・例文の選定を行い、文法解説を加えた。5.医学および生命倫理に関するハイブリット方式の専門用語辞典(日本語・アラビア語)について、共同執筆者と刊行に向けた討議を行い、本研究で収集した辞書類・関連資料とデータ蓄積を活用しながら「身体」に関する用語の執筆と編集作業を進めた。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件)
『イスラーム 書物の歴史』(小杉泰・林佳世子編), 名古屋大学出版
巻: / ページ: 46-65
巻: / ページ: 136-156