研究課題/領域番号 |
24710290
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
山本 宗立 鹿児島大学, 国際島嶼教育研究センター, 准教授 (20528989)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | インドネシア / トウガラシ属 / 遺伝資源 / 文化資源 / 民族植物学 |
研究概要 |
インドネシアのジャワ島・バリ島・カリムンジャワ島においてトウガラシ属の遺伝資源・文化資源の調査をおこなった。Capsicum pubescensはトウガラシ属の栽培種の一つで、アンデス山脈の中・高標高地を原産地とし、黒い種子や毛深い茎葉といった他の栽培種とは大きく異なる形態的特徴を持つ。現在はアンデス山脈をはじめ中央アメリカの高地でも栽培されているが、他地域における栽培例はほとんど知られていない。標本調査の結果から、C. pubescensは約100年前すでにインドネシアへ伝播していたことが明らかとなった。また、西ジャワおよび中央ジャワの高地(高度約1,500m以上)においてC. pubescensの栽培を確認することができた。栽培地付近の市場だけではなく、ジャカルタなどの一部低地でもC. pubescensは販売されていた。バンドゥンがC. pubescensの集積地・流通拠点の一つであることがわかった。カリムンジャワ諸島およびバリ島ではC. pubescensの栽培・分布ともに確認することができなかった。C. pubescensの花弁は通常紫色だが(基部に白色の斑点が入る場合もある)、3地点の畑において花弁が完全に白色である植物体を発見した。他の形態は紫花系統とほとんど異ならず、種子も黒かったため、C. pubescensの変種だと思われた。箒の先に唐辛子をつけて立てかけ雨が降らないように祈る、箒の先に唐辛子・シャロット・ウコンをつけて子供のベッドの下におく(生後35日間、悪霊をさけるため)、三角に整形した御飯の先に唐辛子をつけて魔除けとする、などの文化資源に関する情報が得られた。トウガラシ属に関するMaterial Transfer Agreement(MTA)をインドネシア科学院生物研究センターと締結した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りに現地調査が進んでいる。また国内外で成果発表をおこなっており、おおむね順調といえる。
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今後の研究の推進方策 |
25年度第1四半期・第2四半期は、トウガラシ属の遺伝・文化資源に関する文献調査・情報収集をおこなう。2013年8月にインドネシアのボゴールで開催されるNinth International Flora Malesiana Symposiumにおいて前年度の調査結果を発表する。また調査結果を整理し、Economic Botanyに投稿する。現地調査は2013年10月にスマトラ島、2014年2月にスラウェシ島において各1カ月程トウガラシ属の遺伝資源・文化資源(麹の製法を含む)を調査する。調査項目は、これまでに台湾・バタン諸島・カンボジアなどで調査してきた項目を踏襲し、トウガラシ属の呼称、食文化(香辛料、果実以外の利用の有無、系統による味・辛味・嗜好性の違いなど)、酒文化、薬用、儀礼、禁忌、麹のつくり方などとする 。その調査結果を日本熱帯農業学会などで研究発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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