研究課題/領域番号 |
24710293
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
島田 美和 慶應義塾大学, 総合政策学部, 講師 (60580157)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 西北開発 |
研究概要 |
本研究では、東アジア地域における開発と領土の問題をめぐる諸相を、歴史的視座の下で解明することを目的とする。そのため、1930、40年代における中国の内モンゴル地域の領土化をめぐる日本と中国の「アジア主義」と中国の西北開発事業を、アジア主義のリージョナルな側面と開発が持つグローバルな側面に着目しつつ検討した。 本年は、国内調査を中心に行った。第一には、日本国内ですでにデジタル資料で公開されている民国期の雑誌を収集し、その中のアジア主義、中国の「領土」、そして「西北」イメージに関する言論について分析を行った。第二には、京都大学人文科学研究所附属図書館の矢野仁一文庫での調査を行い、欧米の東アジアに関する地理書及び歴史書の資料収集及び分析を行った。海外では、台湾の中央研究院近代史研究所の档案館において、資源委員会の档案の閲覧および国民党政権による中国西北部における開発政策に関わる史料を収集した。 そうした資料収集の成果は、第一に初歩的考察の成果として、6月、中国上海市上海大学で行われた「民国(1912‐1949)史家と史学」国際会議において「南京国民政府期における内モンゴル後套地区の開発」を報告し、知識人による開墾思想とその実践が西北社会に与えた影響について明らかにした。第二に、上海における西北イメージの醸成について、文芸の側面から2012年8月台湾の東華大学で開催された第6回「現代中国の社会変動と東アジアの新構造」国際会議において「“西北”イメージの創造-絵画、演劇、映画」として報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2012年は、日中関係の悪化から当初予想していた内モンゴル自治区、陝西省回族居住地域での、現地カウンターパートとの共同調査を断念せざるを得ない状況となった。中国の少数民族地域での調査は、中国の統合と分裂の問題とかかわり、現地当局者にとってはもっとも敏感な問題である。 そこで、24年度の研究計画を変更し、中国大陸での調査を断念し、国内におけるデジタル資料の整理および京都大学人文科学研究所での資料調査を中心に行うことした。また、海外調査についても台湾に変更し、台北にある中央研究院での档案調査を主に行った。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は24年度夏に計画していた内モンゴル自治区、山西省そして陝西省でのフィールド調査を行いたい。具体的には以下の6つの調査を行う。 ①北京師範大学資源学院の砂漠環境調査チームとともに、内モンゴル西部における資源調査及びオルドス黄河流域における水利および移民開墾の状況を調査する。 ②山西大学社会史センターの協力を得て、山西省北部および陝西省西部における民俗と移民開墾との関係について調査を行う。③デジタル史料化されていない民国期の雑誌資料について、中国北京国家図書館で調査を行う。④上海市復旦大学歴史地理研究センターで、中国における地理概念に関して現地研究者と交流を行う。⑤9月に重慶市での日中戦争に関する国際会議に参加予定であるが、24年度に国内と台北を中心に収集した史料を用いて報告を行う。また報告前後に重慶市档案館と図書館において戦時におけるアジア主義の資料を調査する。⑥日中関係を日中以外の観点から考察するために、欧米圏の研究者との交流を図る。そのため、8月にロンドン大学とケンブリッジ大学で東アジアの地理概念について、欧米の資料を調査・収集する。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度は、中国でのフィールドワークを断念したため、24年度の研究費に残高が生じた。25年度は、昨年度の調査も含め大陸や欧米での活動を再開し、フィールドワーク、資料調査そして研究交流のために研究費を使用する。具体的には以下の4つの調査費用にあてる。 ①中国大陸(山西省、内モンゴル自治区、陝西省、北京市、上海市、重慶市)でのフィールドワーク費用とそれに付随する調査補助費として支払う謝金、資料調査および資料印刷費、国際会議参加費に使用する。②イギリスでのアジア認識を調査するために、ロンドン大学とケンブリッジ大学での史料調査および現地研究者との交流を行う。③必要に応じて、台湾台北の国史館および中央研究院近代史研究所での档案史料調査を行う。④デジタル史料の整理、打ち込み作業補助者への人件費として使用する。
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