研究課題/領域番号 |
24710294
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
小原 江里香 津田塾大学, 国際関係研究所, 研究員 (30400203)
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キーワード | 中国 / 重慶市 |
研究概要 |
25年度は、24年度に引き続き重慶経済に関する書籍や先行研究の整理を行うとともに、予定していた調査を実施した。 まず25年9月に実施した現地調査では、重慶市内で代表的かつ大規模な低所得者用住宅地域をたずね、「重慶モデル」の骨子である戸籍制度改革や土地制度改革、住宅改革(公営住宅の導入)に関する聞き取り調査を行った。その結果、①「公租房」は出稼ぎ労働者をはじめとする低所得者層にとってきわめて人気の住宅であり、入居申し込みをしても抽選で当たる確率はかなり低いこと、②「公租房」と言っても、集合住宅を取り囲むように医療施設、教育施設、保育園、食堂、スーパーマーケットなど生活必需品を販売する店舗など、一つのコミュニティーあるいは町が形成されれていること、③しかし「公租房」に移り住んだ人々に対する職業紹介などは必ずしも機能しておらず、不満をもらす者も少なくなかったこと、④重慶市中心部から離れた場所に立地する「公租房」は人気が下がること、⑤にもかかららず重慶市中心部のみならず、重慶市の中小都市周辺にも「公租房」の建設が計画・着工されており、重慶市全土に「公租房」建設が広がっていることなどが明らかになった。 同時に、2010年に実施された人口センサスの集計結果を公開している『重慶市2010年人口センサス資料』を利用して、人口構造の初歩的な分析を行い、2000年人口センサス実施時に比べると、人口流出、人口流入ともに増えていることなどが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究2年目となる25年度は、本調査として調査票調査を実施していたが、カウンターパートとの連絡、関係強化がスムーズに運ばず、聞き取り調査への変更が余儀なくされた。研究の全体的な方針を再検討しながら研究を進めてきたが、収集できた情報の質・量を踏まえると、研究の達成度は、結果的には遅れ気味にならざるをえなかった。
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今後の研究の推進方策 |
昨今の日中関係の影響から、調査票調査の実施は困難なように思われるものの、研究代表者がもつネットワークを駆使して、できるだけ実施できるように尽力したい。同時に、現地での聞き取り調査は可能な限り実施して、調査票調査の準備を万全に整える。 また、関連するデータや情報が膨大になっており、その整理・初歩的分析についても、進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
現地調査を2回予定していたが、現地のカウンターパートとの連絡・調整がスムーズに進まず、現地調査回数が結果的に1回となった。そのため、旅費や謝金等の支出が控えられた。 予定していた現地調査を次年度にずらして実施を予定している。また、収集した資料やデータの整理、専門的な情報の提供に対する謝金等で支出を予定している。
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