研究課題/領域番号 |
24710294
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
小原 江里香 久留米大学, 経済学部, 准教授 (30400203)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 都市化 / 少子化 / 出生率 / 出稼ぎ労働者 |
研究実績の概要 |
中国では現在「新型都市化」政策と呼ばれる都市化戦略と、一人っ子政策の緩和をはじめとする少子化対策が平行して進行している。そこで、「新型都市化」政策と現行の少子化対策がどのような関係にあるのか、すなわち、「新型都市化」政策がむしろ少子化を進行させているのではないか、という仮説を設定し、公式データ等を用いて検証した。
そのために、中国人口統計年鑑をはじめ、各省の人口センサスデータを利用し、各省の合計特殊出生率の変化および生育管理政策との関係を分析し、次に、各省の「新型都市化」政策の内容を整理したうえで、新型都市化政策のなかでも重要なアクターである出稼ぎ労働者の合計特殊出生率を分析した。
その結果、① 都市化戦略がねらう集積の経済による成長戦略は、補完的な少子化対策を伴わない限り、その地域の出生率をさらに下げてしまう可能性がある。②「新型都市化」政策のもとでは、とりわけ農村から都市への移転者の家計を十分に把握し、その多様なライフサイクルを尊重しつつ、いかに出生率の低下を防ぐのか、政策立案にとって重要な課題であることなどを指摘した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は当初最終年度として位置づけていたが、研究代表者の体調不良により、継続研究をすることにしている。最終的な報告書は出していないが、都市化と少子化の関係に着目した人口データ分析は順調に進んでいる。一方で、中国・重慶市の関連機関において実際に運用されている土地政策、戸籍政策、就業政策等に関する聞き取り調査などは十分に実現できていない。
|
今後の研究の推進方策 |
体調が回復次第現地調査を行う。具体的には、土地の流動化、戸籍、就業、住宅に関して重慶市の関連機関で聞き取り調査を行う。目下現地研究者との調整を進めているが、可能であれば農村地域においても調査を実施したい。さらに国内の学会等への参加、および現地研究者との交流を通じて意見を広く取り入れ、本研究に関する研究成果を出すことに努める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
27年度の夏に妊娠し、その後は体調不良が続いた。そのため予定していた調査や学会報告を含め、当初の計画とおり進めることができなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
28年度に現地調査を行う。
|