研究課題/領域番号 |
24710298
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
佐藤 靖明 大阪産業大学, 人間環境学部, 准教授 (30533616)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | バナナ / アグロフォレストリー / 国際情報交換 / ウガンダ / 在来知 / 生物多様性 / 東アフリカ / 民族植物学 |
研究実績の概要 |
本研究は、東アフリカのバナナを基幹作物とする集約的農業地域において、アグロフォレストリー(樹木と他の作物が混植される集約的な土地利用形態)の発達と住民の知識がいかなる関係にあるのかを、主に苗木の配布・モニタリングをとおして明らかにすること目的としている。平成27年度は、ウガンダ中部の農村の各世帯を対象に、平成25年度と平成26年度におこなった苗木の配布後のモニタリング調査を遂行し、ウガンダ中部については以下のことが明らかになった。なお、ウガンダ西部では聞き取り調査の結果を分析している途中である。 (1)栽培樹種の選択基準と栽植パターン: 少数の樹種に関しては、バナナの栽培上の相性にかかわる情報が広く共有されていた。しかし、実際に植えられている樹木種の構成が地域間、世帯間で大きく異なっていた。その要因として、土壌の肥沃度、慣習、利用法にかんする知識、自給/販売への志向性の違いが推定された。 (2)苗木の配布と育成をとおした住民の意識・知識の変化における特徴: 各世帯への苗木の配布と栽培試験は、農家の主体性への配慮が必要であるものの、樹木栽植への関心と知識を高める点において農村への波及効果が高いことが分かった。また、不平等感を生み出す問題が少なく、住民間や住民と研究者の間で、これまで埋もれていた知識や意見をスムーズに交換できる環境がつくられることが分かった。 以上の成果を論文としてまとめている段階であり、平成28年度中に発表する見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
成果発表のためのデータはほぼ集まっているものの、ウガンダで現地調査をする際の調整に時間がかかったこともあり、補足調査が遅れている。他方、調査の過程で以下の新たな知見が得られた。(1)ウガンダ中部の農村において、近年の病虫害や気候変動の影響を考慮して、作物栽培が多様化していること。(2)世帯間の相互扶助の新しいしくみが構築されていること。これらは本事業の中心であるアグロフォレストリーの進展と密接に関係していることが推察されるため、この調査結果を先にまとめた。
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今後の研究の推進方策 |
ウガンダ中部、西部において補足調査を行うとともに、航空写真の分析も含めてこれまでの調査結果をまとめる。そして、本事業の成果として投稿論文として発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査を行ったウガンダにて、本事業の対象である住民の知識や意識の変化を観察するために、あと一年補足調査をおこなう必要が生じたため。また、国際学会にて成果を発表し、研究結果の考察をより深めるため。
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次年度使用額の使用計画 |
主にウガンダへの調査渡航旅費、国際学会への調査渡航旅費、書籍・論文代、論文の英語校閲費に使用する。
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