研究課題
現在、森林認証制度の小規模認証取得者への支援が求められている。そこで、インドネシア、グヌン・キドゥル地域において、小農を対象とした森林認証制度について継続調査を行った。林業局のOBが会社を作り、2012年に森林管理協議会(FSC)認証を取得し330.5haが認証されている。現在の96の小農チーク林組合が参加しているが、住民にとって森林認証に加盟するメリットとしては、認証材のプレミアムがあげられる。非認証材と比べて15~35%高い。また材販路の拡大、伐採後のチーク苗の提供などのサービスを受けることができる。また現在インドネシア政府が合法木材認証を実施するようになり、FSC認証取得への第一段階として国内の合法性認証取得の支援を受けることができることも住民にとっては利点となっていた。またマイクロクレジットや村人のキャパシティービルディングなどにも力を入れていた。ただ認証材の選定基準は厳しく、ローカル材に比べると材の多くの部分が規格外とされてしまい、算定されないということがあり、一概に価格だけでは比較できないことが明らかとなった。森林認証制度における管理木材についても調査を行った。管理木材とは認証ミックス材に含まれる材のことであるが、認証はとっていないものの、合法性の担保が求められており、世界全体で管理木材のリスクアセスメントが行われており、そこでの先住民の権利の扱いについても調査を行った。また今年度は2014年2月に認証制度を比較するシンポジウムを共催した。市場誘導型の自然資源管理システムである森林認証制度、オイルパーム認証などを比較し、現在の導入状況、抱えている課題について報告を行った。これらの成果は編集本として出版の予定である。
2: おおむね順調に進展している
今年度はインドネシアの継続調査を行うことで、より小農を対象とした認証制度の特徴と課題が明らかになった。特にインドネシアで、木材伐採に際して必須となった合法性認証との比較は今後も重要なテーマとなる。また森林認証制度以外の市場誘導型の認証との比較研究が進んだ。また森林認証関連のデータベースの作成も順調に進んでいる。最後にマレーシアでの森林認証制度の事例が『東南アジア研究』にて掲載決定した。
今後はマレーシア認証林での継続調査に加えて、インドネシア、カリマンタンにある認証林と比較研究を行っていく。ガバナンスのことなる認証林において、認証取得による生態面、社会面の影響について明らかにしていく。また他の市場誘導型認証制度との比較研究については編集本をまとめていく過程で、比較のフレームワークを精緻化させる。最終年度なので、単著作成にむけて、これまで収集してきたデータのデータベース化、世界各地で認証に関わる重要なステイクホルダーへの聞き取り調査などを行う。
予定していたマレーシアでの海外調査が、カウンターパートの都合で延期となったため、その分に取っていた予算を繰り越すこととした。延期したマレーシアでの海外調査のために執行する予定である。
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東南アジア研究
巻: 52巻1号 ページ: 印刷中
International Journal of Advances in Management, Technology and Engineering Science
巻: vol.2, Issue 6 (2) ページ: 69-72