本研究は、「市場メカニズム」に基づく自然資源管理の一つである森林認証制度の導入の地域住民への影響の検証を目的としている。本研究の結果、マレーシアの認証林の地域住民は森林が囲い込まれてしまった一方で、インドネシアの認証林の地域住民は、制度上は囲い込まれているが、森林資源へのアクセスが維持されていることがあきらかとなり、インドネシアの方が認証制度による便益が多いことが明らかになった。その要因は認証に関わる利害関係者の多さ、地域住民に対する社会福祉、企業の地域住民への社会的責任の違いなどが挙げられる。またNGOによる慣習権拡充の動き、憲法裁判所による慣習権の認定なども大きく影響していると考えられる。
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