研究課題/領域番号 |
24710300
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
佐藤 千鶴子 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, 研究員 (40425012)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 南アフリカ / ワイン産業 / 黒人の経済力強化 |
研究概要 |
本研究は、南アフリカの代表的な農産物加工産業であるワイン産業と砂糖産業を事例に、民主化後の南アフリカにおいて農産物加工産業に黒人生産者がどの程度、どのような形態で参入しているのかを明らかにすることを目的としている。 初年度(平成24年度)には、南アフリカ政府による黒人の経済力強化(BEE)政策の内容と、同政策を背景とする西ケープ州のワイン産業への黒人の参入形態について研究を実施した。政府が強い規制権限を有する鉱業や漁業部門と比べると、農業部門への黒人の参入は限られている。しかしながら、2003年に広範な分野における黒人の経済力強化法が制定されて以降、政府からの改革を求める圧力は日増しに高まりつつある。その結果、ワイン産業界が独自の改革プロセスに着手し、ワイン産業における黒人のプレゼンスは今だ限られたレベルに過ぎないものの、さまざまな形態での黒人の参入が見られることが明らかになった。とりわけ本研究では、黒人が経営ないし経営にかかわっているワイナリーを2つの形態に分類し、両者の特徴、経営者の背景、ビジネスの持続可能性を中心とする課題について考察を行った。 政治的民主化を達成した南アフリカでは、人種間の経済格差の是正を中心とする経済的民主化が依然重要な政治経済的課題として残されている。経済的民主化を進めるための政策的手段がBEE政策である。本研究の意義は、今日なお白人が支配的な地位を維持しているワイン産業におけるBEE政策の実施状況と課題を明らかにしようと試みていることである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
南アフリカ政府による黒人の経済力強化政策の内容やワイン産業における黒人経営ワイナリーについての調査は順調に進展している。他方、南アフリカ産ワインの最大の輸出先であるヨーロッパでの調査を初年度(平成24年度)に実施することができなかったため、これについては次年度以降(平成25年度および平成26年度)の課題とする。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、南アフリカとモザンビークにおいて砂糖産業の研究に着手する。南アフリカでは、1990年代半ば以降の砂糖産業の再編過程全般について調査を実施する。モザンビークでは、南アフリカ資本の製糖会社の進出状況について調査する。 また、平成24年11月~25年1月にかけて西ケープ州で発生した農場労働者によるストライキの結果、ワイン産業の中心地である西ケープ州では農場労働者の待遇をめぐる問題が重要課題として浮上したことから、ワイン産業界による農場労働者問題への取り組みについてもフォローしていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、南アフリカとモザンビークにおける現地調査の実施、現地調査における調査補助員の雇用、砂糖産業や南部アフリカ関係図書および資料の購入、英文での成果執筆の際の校閲などに研究費を使用する。
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