平成26年度は初年度の研究計画を継続しながら、『家族報告書(第3~4次)』(1979~1985年)を丹念に読むことで、1970年代末から1980年代半ばに政治家が議会・会議で発した言説に家族をめぐる専門家の意見がどのような影響を与えていたのかを跡付けた。しかし、1980年代に政治の争点が「労働」から「家族」にシフトする流れとその大きな枠組みについては、計画通りに明確化しえず、日本社会学会での報告は見送った。本年度は研究成果の最終的な取りまとめに向け、前年度の作業を継続しながら、国内外の専門誌に投稿する準備を進めた。そのひとつの準備作業として、3月にDAAD日独フォーラムにて日本の事例との比較の視点を加え、研究成果を報告した。その成果を日本語論文としてまとめたが、論集という性格上未刊行となっている。三年という限られた研究期間で積み残した課題は幾つか残っている。とりわけ、ドイツでの成果報告と父親組織へのインタビュー調査については、新規に科研費申請を行い、研究を継続するつもりである(基盤研究Cは内定)。
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